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MotoGP ニュース

投稿日: 2017.07.14 17:23
更新日: 2018.06.26 16:12

予想以上の混戦。その鍵となるタイヤに迫る!/ノブ青木の知って得するMotoGP

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MotoGP | 予想以上の混戦。その鍵となるタイヤに迫る!/ノブ青木の知って得するMotoGP

 ブリヂストンとミシュランは、それほど特性が異なるのだ。端的に言えば、ふたつの特徴が挙げられる。「フロントのブリヂストン/リヤのミシュラン」そして「コンパウンドのブリヂストン/構造のミシュラン」だ。それぞれ簡単に説明しよう。

 まずは「フロントのブリヂストン/リヤのミシュラン」。これはそれぞれの強みだ。ブリヂストンは、とにかくフロントタイヤの出来が素晴らしかった。剛性が高いので、ガツンと思いっ切りブレーキングでき、高い安心感のなか、マシンを勢いよくベタッと寝かせられた。一方のミシュランは、リヤタイヤが素晴らしい。接地感も良好、グリップレベルも非常に高い。

ブリヂストンタイヤはフロントを激しく潰すシーンがよく見られた
ブリヂストンタイヤはフロントを激しく潰すシーンがよく見られた

 そして「コンパウンドのブリヂストン/構造のミシュラン」。これはグリップの出し方だ。ブリヂストンは「直接路面にくっついてるのはゴムでしょ!」と、トレッド(タイヤ表面)のコンパウンド開発に重きを置いていた。ケース剛性をとにかく高めているから、つぶれにくい反面、使いこなせればハードブレーキング時にも頼れる安心感があった。

 一方のミシュランは、タイヤ構造そのものからもグリップを出そうとする。ケースをつぶすことで、高いグリップを発生させようというのだ。

 同じように黒くて丸いタイヤだが、ブリヂストンとミシュランではキャラクターがまったく異なることがお分かりいただけただろうか? しかも昨年は、タイヤメーカーの変更と同時に、リム径も16.5インチから17インチに変更された。たかが0.5インチ、つまり1.25cmの違いと思われるかもしれないが、これも大きかった。タイヤ外径は変わらないので、リム径が大きくなるとその分タイヤのハイト(サイドの高さ)は低くなる。このことで、タイヤ自体が持つショック吸収性や路面追従性などサスペンション機能が低下してしまうのだ。

リヤグリップの定評が高いミシュラン
リヤグリップの定評が高いミシュラン

 ちなみにミシュランが17インチに変更したのは、市販車用タイヤへの技術的フィードバックをより行いやすくするためだ。レースでしか使われない16.5インチを開発するより、市販車で一般的な17インチを開発した方がよい、という判断だ。

 正直、我々ライダーとしては16.5インチの方がイイことが多いのだが、市販車のタイヤ性能向上ももちろん大切。致し方ない……。

 話をまとめよう。ミシュランタイヤにスイッチして以降、今季に至るまで、フロントから転倒するライダーが多く見受けられる。これは多くのMotoGPライダーがブリヂストン+16.5インチのリム径によるフロント頼りの走りに慣れてしまっているからだ。

 ワタシがテストした感触では、ミシュランのフロントタイヤも決して悪いワケじゃない。ただ、リヤがかなり良い分、フロントが劣っているように感じてしまう。しかも、0.5インチのリム径増加のせいで、超シビアな限界領域が分かりにくくなってしまった。結果的にフロントを探りながらのライディングになり、それでもついスカッと転んでしまう、というワケだ。

 さらに詳しく説明すると、4輪でいうプッシュアンダーに近い現象が起きているようだ。リヤのグリップレベルが高い分、フロントを押してしまうイメージだ。スロットルを開け始めた所でフロントからスコンと転んでしまうのは、ほとんどこのパターンだろう。4輪の場合は「曲がらない~っ!」というアンダーステアで済むが、2輪の場合は転倒してしまうのがイタイところ。


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