■MotoGP昇格へのプレッシャーはない
アジアのなかで世界のトップレベルで戦い、活躍できるアジア人ライダーを発掘・育成するために立ち上げられたチーム・アジアで戦った4年間。アジアという地域を意識することはあったのだろうか。
「いつも念頭に置いていたわけではありませんが、『チーム・アジアのライダーとして結果を残せば残すほどアジアの活性化にもつながっていく』ということは頭の隅にありました。自分がチーム・アジアのエースの立場であることは実感していました」
「そして、アジア・タレント・カップでアジア人が世界に進出する道ができてからは、その子たちが僕たちを観てくれているということを、特に去年あたりから強く肌に感じるようになりました。特に、日本とセパンの大会ではそれを強く感じますね。今まではそんなことを考える余裕もなかったので、それも自分が成長できた部分なのかなと思います」
中上がMoto2クラスで過ごした6年間は最終戦バレンシアGPをもって終了。11月15日からは早くも二日間にわたるオフィシャルテストが行われ、2018年のMotoGPが始動した。
LCRホンダ・イデミツからカル・クラッチローのチームメイトとしてMotoGPクラスに参戦する中上は、最高峰クラスのマシンを駆って初日76周、二日目には62周を周回。二日目の最後の週には転倒を喫したが、初日ルーキー勢トップ、二日目ルーキー勢2番手でテストを終えている。ついにつかんだ最高峰クラス参戦。プレッシャーはないのだろうか。
「それはないですね。小さいころから夢を見てきた目標に到達できたうれしさのほうが優っています。緊張も不安もなく、とにかく今は楽しみで、早く走りたい気持ちが強いです」
「2018年シーズンはまったく新しいチャレンジで、バイク、タイヤ、電子制御など、なにもかもが未知のことばかりです。だから、まずはバイクに慣れて理解をすることが第一目標です。そして、世界最高のトップライダーたちと一緒に走れることが、今はなによりも楽しみです」
久しぶりに最高峰クラスにフル参戦する日本人ライダーの活躍、中上貴晶の活躍を、ファンも『なによりも楽しみ』にしている。