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MotoGP ニュース

投稿日: 2018.12.26 16:30
更新日: 2018.12.26 17:06

【ペドロサ独占インタビュー】MotoGP引退を決めた理由「自分でも気づかないうちに心のなかで決断していた」

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MotoGP | 【ペドロサ独占インタビュー】MotoGP引退を決めた理由「自分でも気づかないうちに心のなかで決断していた」

 2018年第19戦バレンシアGP、ダニ・ペドロサはMotoGP最後のレースを終えた。雨のバレンシアGPを終えたあとの心境、そしてペドロサがこの世界から身を引くことを決めたときと、そのきっかけについて迫る。2年前、ペドロサはすでに引退を意識し始めていた。

 12月上旬、ペドロサはツインリンクもてぎで開催されたオフシーズンのファンイベント、ホンダ・レーシング・サンクスデー2018に参加するために来日。インタビューはそのイベント前日に行われた。

■最後のレース、雨のバレンシアGP

 ペドロサにとって現役最後のレースは簡単なものではなかった。むしろかなり厳しいレースだったと言えるだろう。強い雨によるコースコンディションの悪化で、決勝レースは一時中断。再開後もフルウエットの路面に、足をすくわれるライダーは多かった。

「最終戦はかなり複雑な状況だったよ」。ペドロサはそうバレンシアGPを振り返る。

2018年最終戦バレンシアGPは、強い雨により転倒者が続出するサバイバルレースとなった
2018年最終戦バレンシアGPは、強い雨により転倒者が続出するサバイバルレースとなった

 バレンシアGPは2017年、ペドロサが優勝を果たした場所。ファンも有終の美を飾るペドロサの姿を期待していただろうし、ペドロサ本人も同じ思いだったはずだ。

「(バレンシアGPは僕にとって)最後の戦いだったから、最高の結果を出したいと思っていた。デザートも最後の一口は美味しく味わいたいと思うだろう?」

 しかし、ペドロサの“デザート”は甘いものではなかった。バレンシアサーキットを走りながら、これが最後のレースだと思い巡らせるどころではなかったのだ。

「あのレースは、少しでも気を抜けばコースアウトするような状況だった。最終戦をほろ苦い思い出にはしたくなかったから、とにかくコースアウトしないようにマネージメントしながら、全力を尽くしたよ」

「少しは感傷的になったけれど、それよりも本当に強い雨が降っていたから動揺する気持ちのほうが強かったんだ」

 ペドロサは最後のレースを5位でチェッカーを受け、レプソル・ホンダ・チームのピットに帰ってきた。ペドロサはバレンシアGPを走りきったあとの心情を、こう表現している。

「感情的になったよ。多くの友人や家族、チームスタッフ、メカニック、これまでの18年間で関係を築いてきた人々、なによりファンがいたからね。スタート前から感傷的になったし特別な1戦になったんだ」

 ただ、自身がMotoGPを退いたのだという意味での感傷的な感覚は、まだない。

「引退したことを実感するのは、もう少し先かな。まだ“その時”は来ていないよ」

■ペドロサが引退を決断したとき

 HRCがペドロサとの契約を2018年シーズン限りで終了すると発表したのは、シーズン半ばの6月だった。そして7月の第9戦ドイツGP前に、ペドロサは引退を発表する。そのひと月の間には、ペドロサがヤマハのサテライトチームに移籍するのではという話も流れた。しかしペドロサが最終的に下した決断は、レースの第一線から退くことだった。

「2年前にHRCと契約をしたときから、これが最後の契約になるだろうと思っていた。レースを続ける選択肢もあったから、心境が変わるかもしれないとも思った。だけど、最終的には自分でも気づかないうちに、心のなかで引退を決断していた感じがするんだ」

ペドロサはすでに2年前にから、引退を意識し始めていた
ペドロサはすでに2年前にから、引退を意識し始めていた

 2015年、ペドロサの引退がささやかれた時期があった。開幕戦カタールGP後に、右腕の腕上がり手術を受けたときだ。シーズン中、しかも開幕戦直後の手術に、ペドロサが抱える症状の深刻さがうかがえた。

 そのときから引退を意識していたのか、そう質問するとペドロサは「(2015年のことは)今回とは違う」と言った。

「確かにあのときは序盤からああいった状況に追い込まれた。厳しい状況だったよ。引退という文字が頭をよぎった。でも、それは心理的にというよりも、肉体的にレースを続けられないかもしれないと思ったからだ」

 アスリートが現役を退くとき、その理由にはさまざまなものがあるだろう。ケガはもちろんのこと、チームから解雇されるなど自分ではどうしようもない外的要因で、終焉を自身で選べないことだってある。

 ペドロサの回答は、精神的な面が「MotoGPライダー人生に幕を引くときだ」と決断させたということを物語っていた。少なくとも、ペドロサの言葉からは「こうなることが自然だ」という風に心が動いていったのだと思われた。

■現役引退で“ダニ”から“ダニエル”へ戻る……?


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