2019年シーズンに向け行われた11月末のヘレステストで、中上は2日間総合トップタイムをマークした。へレステストで中上が乗ったのは、2018年型のホンダRC213V。今季、チームメイトのカル・クラッチローが駆ったマシンだ。
2019年、中上はこの2018年型RC213Vで戦うことになるという。そのバイクでマークしたトップタイム。中上はマシンに手ごたえを感じていた。
「2018年型マシンのパフォーマンスは、2017年型に比べてよくなっています。力があって乗りやすく、トップスピードも速くなりました」
「2018年型はかなり戦闘力が高いことがわかりました。すごくチャンスがあるんじゃないかと思います。特に、まだ2019年(型の)バイクが仕上がっていないシーズン序盤は、ポイントになると考えています。そこを最大限に活かしたいですね。2018年型は、2019年型とはそんなに差がないと思うんです」
トップタイムの要因はマシンだけではない。中上自身の進化もあった。
「この1年、僕がMotoGPマシンに慣れたこともあります。その経験をテストから活かすことができました」
「ライディングが変わりましたね。Moto2マシンとMotoGPマシンは走らせ方が違います。シーズン中はMoto2の癖が出てしまったりもしました。それを悩みながらシーズンを過ごしてMotoGPマシンに慣れていき、今はだいぶ自信を持てるようになりました」
ライディングが変わったと語る中上。シーズン中にはMotoGPマシンの走らせ方に悩むこともあった。
「MotoGPマシンの性能はすごく高いんです。限界値がすごい。みんな紙一重の操作でタイムを出しています。それに比べると、Moto2マシンは少し限界値が低いんです。自分が思っている限界の操作をしてしまうと転倒につながったり、これ以上いけないという感触があるのですが、MotoGPマシンはそれをはるかに超えたところまでいけます。Moto2クラスに6年間参戦していたので、(2018年は)Moto2マシンの感覚が残っていました」
「それから、MotoGPマシンはパワーがものすごいです。コーナー脱出でのバイクの起こす角度などはとても精密で、繊細な操作が必要です。シーズン中はそこに悩み、今でも課題です。それから自分ではやっているつもりでも、足りていないところもありました。そういうところがシーズン後半につれて、少しずつ壁を壊していけた。MotoGPバイクに特化した走らせ方ができるようになったんです」
ヘレステストで、中上は初日からいい流れにあった。初日は3番手。2日目もつねに上位につけていた。リズムをキープしたままトップタイムを叩き出し、最高の形で2018年を締めくくった。