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MotoGP ニュース

投稿日: 2019.05.24 12:49
更新日: 2019.05.24 12:50

JSB1000マシンフォーカス:2年目で真価を見せるホンダワークスCBR。「戦闘力は間違いなく上がっている」

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MotoGP | JSB1000マシンフォーカス:2年目で真価を見せるホンダワークスCBR。「戦闘力は間違いなく上がっている」

 さらに電子制御、トラクションコントロールも進化している。高橋はコーナー出口で、ライバルよりも早く大きくスロットルを開けて走っていた。

「ただ早く開けても意味はありません。それが加速に結びつかなければ」と高橋。その言葉通り、CBRは安定した姿勢を保ったまま、ダイレクトな加速を見せる。

「電子制御がレースで勝敗を分けるのは確か。セッティングの煮詰めが少し足りないだけでも負けてしまいます」と高橋。つまり、少なくとも中須賀に完勝した鈴鹿では十分に戦闘力のあるセットアップが得られていた、ということだ。

Team HRCのホンダCBR1000RR SP2 2019年仕様(右リヤ)
Team HRCのホンダCBR1000RR SP2 2019年仕様(右リヤ)

 CBR1000RR SP2について話を聞いていて気付くのは、“何かひとつに頼っていない”ということだ。前後サスの変更や電子制御の煮詰めなどをしつつ、それらすべての精度を丹念に高め、トータルバランスを向上させることに力を注いでいる印象だ。

 高橋が走らせるCBRは、量産車ではSC77型とされ、2017年にデビューしている。量産スーパースポーツの電子制御化に慎重だったホンダが、ついにトラクションコントロールを始めとする制御をふんだんに盛り込んだモデルだ。

 このSC77型のデビューイヤーに、高橋はJSB1000クラスでチャンピオンの座に就いた。見かけ上は“鮮やかな新型デビュー”となったわけだが、実のところは最大のライバルである中須賀が16.5インチタイヤから17インチタイヤへのスイッチに苦戦したことが要因だった。2018年にホンダはワークス体制を復活させたものの、中須賀に王座を奪取され、実力の差を見せつけられた。

Team HRCのホンダCBR1000RR SP2 2019年仕様(左リヤ)
Team HRCのホンダCBR1000RR SP2 2019年仕様(左リヤ)

 しかしその間、ホンダはじわじわと車体、そしてエンジンまわりのセットアップを進めてきたのだ。

「2018年の最終戦鈴鹿で、自分としては劇的な変化がありました。今年はそのいい流れのまま走れています」と高橋。“劇的”とは言うものの、話を聞く限りではその内訳に飛び道具は見当たらず、実直な積み重ねに他ならないだろう。

 そしてホンダは、かねてから「全日本は、鈴鹿8耐に向けての1年間をかけてのテスト」と公言してはばからない。JSB1000のCBR1000RR SP2にも、耐久仕様と言っていい箇所が数多く発見できる。主ターゲットはあくまでも国内最大の2輪レース、鈴鹿8耐なのだ。その鈴鹿でヤマハの中須賀を圧倒したことは、鈴鹿8耐に向けてかなり順調に準備が進んだ状態と言える。

 鈴鹿の2レースを制した後の高橋は、「これで天狗にならず、今後も気を引き締めていい流れを持続したい」とコメントした。ヤマハの鈴鹿8耐5連覇を阻止し、表彰台の頂点を奪い取った時、初めて心からの笑顔を浮かべるのだろう。


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