LCRホンダは10月15日、ロードレース世界選手権の最高峰MotoGPクラスに参戦する中上貴晶が、HRCとの契約を1年更新し2020年も継続してLCRホンダ・イデミツからMotoGPに参戦すると発表した。
中上は、2007年の最終戦バレンシアGPにMoto3クラスの前身である世界選手権125ccクラスにスポット参戦しグランプリデビューを果たした。2008年から2009年までは125ccクラスにフル参戦していたが、戦いの舞台を一度、全日本ロードレース選手権に戻した。
しかし、2011年に全日本ロードのJ-GP2クラスでチャンピオンを獲得すると、2012年から世界選手権に復帰しMoto2クラスに参戦を開始した。
ホンダが進めてきた世界で活躍するアジア人ライダーを育成する取り組みの一環として、2014年からはイデミツ・ホンダ・チーム・アジアからMoto2で戦い、2016年の第8戦オランダGPで初優勝を飾る。2017年も第12戦イギリスGPで勝利し、Moto2クラスで通算14度の表彰台を獲得した。
2018年からはMotoGPクラスに昇格し、4年ぶりの日本人MotoGPライダーとしてグランプリを戦っている。今季は第15戦タイGP終了時点でランキング12位。シングルフィニッシュの常連にもなり、第6戦イタリアGPでは5位とベストリザルトを更新した。
そんな中上が、2020年もLCRホンダ・イデミツからMotoGPに継続参戦することになった。来季のマシンは1年落ちの2019年ホンダRC213Vだ。
また、中上は10月18~20日に栃木県のツインリンクもてぎで開催される第16戦日本GPで母国凱旋レースを戦うことになるが、その後に右肩の手術を受けるため、2019年シーズンの最後のレースは日本GPになるようだ。チームは2020年最初のテストとなる2月7日のセパンテストで復帰を目指している。
中上は「まず最初に、ホンダとLCRホンダ・イデミツに残留することを嬉しく思います。今年は大いに改善することができています。ホンダは素晴らしいサポートをしてくれて、非常に競争力のあるパッケージを提供してくれました」と喜びを語っている。
「2020年シーズンも引き続き協力して、いい走りをしていきたいです。怪我については、アッセン(第8戦オランダ)でのレース中にクラッシュをした後、右肩の痛みと少し力が入らないことがわかりました。バルセロナで2度ミル医師のところへ行き、最近ではこの状況を完全に理解するために、東京にある船橋整形外科病院のスガヤヒロユキ医師のところへ行きました」
「怪我をしながらもバイクに乗ることができましたが、理想的な状況ではなかったので、ホンダとLCRホンダ・イデミツとともに、母国レースの直後に手術を行うという難しい決断をしました」
LCRホンダのチーム代表を務めるルーチョ・チェッキネロは「中上貴晶とともにこのプロジェクトを継続できることを嬉しく思っている。2019年の印象的なパフォーマンスをさらに築きあげていきたいと思っている」と続ける。
「タカは毎週末、MotoGPのトップ10を戦う能力を実証し、HRCとともに前進するという目標をたてている。2020年はマルク・マルケスが2019年のタイトルを獲得したばかりのRCVファクトリーバイク(2019年型RC213V)で戦う」
「来シーズンは特に重要な年になるから、タカがシーズン途中で参戦を終了するのは申し訳ないが、日本GP後に手術を受けることの決定は正しいものであり、2月のマレーシアでのテストで彼がベストな体調で復帰することを確信している」
桒田哲宏氏は「2020年シーズンも引き続き中上貴晶選手のMotoGPクラスへの参戦をサポートすることを誇りに思います。中上選手は2019年シーズンを通して成長を続けてきました。彼の努力は日本を始めとしたアジア地域の若者の手本になっています。故障の治療が上手くいき、2020年シーズンさらに活躍してくれることを願っています」とコメントした。