イギリス在住のフリーライター、マット・オクスリーが2020年MotoGPテストを分析。MotoGP最終戦バレンシアGP後には同地でオフィシャルテストが2日間行われた。現場で取材したオクスリーがホンダ、ヤマハ、スズキ、ドゥカティ、KTM、アプリリアの2020年に向けた狙い分析する。前編はホンダ、ドゥカティ、アプリリアについて。
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2020年シーズンのMotoGPの戦いはバレンシアで始まった。バレンシアではほとんどのファクトリーが異なるシャシーとアップグレード版エンジンを公開したのだ。
バレンシアテストでのラップタイムは、ほとんど重要ではないため、あまり真剣に捉えない方がいい。バレンシアは、仕上げられたMotoGPバイクが完全に性能を発揮できるタイプのコースではない。それに、タイムを出すには路面が最高の状態に時にソフトタイヤで走行することが肝心なのだ。ラップタイムは3月8日の開幕戦カタールGPまでは重要ではない。
ファクトリーチームは2020年シーズンに向けて何に取り組んでいるのだろうか? 彼らは2018年と同じことか、その同じことの組み合わせについて取り組んでいる。それは、ブレーキング中のリヤグリップを維持し、ライダーがフロントブレーキをリリースした時にバイクがターンするようにすることだ。そしてバイクがコーナー中盤を速く曲がり、スロットルをすぐに開いてリヤタイヤにエンジンのトルクカーブを合致させ、コーナー立ち上がりの際のトラクションとタイヤライフを改善することだ。
ほぼすべてのファクトリーチームが新たなフレームをバレンシアに持ち込んでいたが、そのすべてが設定された目標や、その一部に基づいてデザインされたものだ。また、6つのファクトリー中、5ファクトリーが異なるエンジンを試していた。なぜなら彼らの目標は2020年のエンジン仕様を2020年最後のへレステストで最終決定することにあるからだ。そうすれば十分な状態のエンジンを2月にテストすることができる。
■コーナー中盤の改善にポジティブなドヴィツィオーゾ
ドゥカティはアルミニウム製フレームの開発過程において新たな一歩を踏み出しているところだ。目標はいつもと同じだ。コーナー中盤でライダーを速くコーナリングさせ、立ち上がりの段階に素早く備えさせて、デスモセディチGPの偉大な強みである、野獣のような馬力をすぐに使えるようにするのだ。
アンドレア・ドヴィツィオーゾはこの点における改善を何年も求めていたが、彼は2020年のプロトタイムフレームが良いものだとポジティブでいる。
「シャシーの違いを感じられるのはいいね」とドヴィツィオーゾは語った。「コーナー中盤では前より少し良くなったようだ。それにうまく曲がれば、立ち上がりもいつもうまくいく」
同時にドゥカティはコーナー立ち上がりの段階をさらに改善しようと取り組んでいる。スムーズなパワー伝達を行うことで、ミシュランのリヤスリックにより合うようにしようとしているのだ。
「僕たちはどのバンク角でどのように最大限のパワーをバイクにもたらせるか理解しているところだ」とプラマック・レーシングのジャック・ミラーは語った。
「全体的によりスムーズになるようにしている。特にスムーズなミシュランタイヤに合わせてね。それから中古タイヤを履いている時に、どれだけバイクの安定性を上げられるかについても学んでいる。バイクから最大限のアドバンテージを引き出すのに一番重要な方法は、リヤタイヤをできる限りスムーズに扱うことだ。そして僕たちはエッジのグリップを増やして、さらにコーナリングができるようにしようとしている」
いつものように、ドゥカティは新たな空力については3月のカタールテストまで明らかにするつもりはない。ライバルのファクトリーチームが冬の間にドゥカティの空力をコピーできないようにするためだ。