第5戦決勝レースで、絶妙のスタートを切ったのは服部だった。1コーナーで平中のインに飛び込み、トップに浮上。しかし、平中もまったく遅れをとることなく、服部に食らいついていく。予選5番手だった山田もまた好スタートを切って3番手に浮上、新田を従えた一方で、阪口はコースアウトで大きく順位を落としていた。
トップ争いは、早々に服部と平中の一騎討ちに転じていく。背後でプレッシャーをかけ続けていた平中は、1コーナーでの服部のワンミスを見逃さなかった。「2~3周目のうちにタイムを出すつもりが、どうにもしっくりこなくて、ブレーキングで詰めようとしたら、膨らんでしまって」と服部。
1コーナーで並んで、続く2コーナーまでに平中が前に出る。しかし、服部もまた平中に食らいついていって再度逆転を狙ったものの、チャンスは最後まで訪れず。逃げ切った平中が昨年の開幕戦以来となる、久々の優勝を飾ることとなった。
「僕のスタートも悪くなかったけど、それ以上に服部さんが良くて。それでも遅れることなく付いていったら、コーナーがつらそうで。1コーナーの膨らんだところを、うまくとらえることができました。このコースで、本当に勝ちたかったんです!」と平中。
しかし、そんな絶好調の平中でもファステストラップは奪えず。ピットスタートとした青木と佐々木がファステストラップ、そして3番手タイムをマークして平中をサンドイッチ。その順で第6戦決勝に挑むこととなった。「なりふり構わずと言われても仕方ない。ペナルティも受けていたし、規定を生かしたまでのこと」と青木。
第6戦決勝では、またしても好スタートを切った山田がひとつポジションを上げて4番手につけるも、トップ3のポジションはそのままに1コーナーをクリアする。が、その直後の中団でアクシデントが発生。1周を経過した直後に赤旗でレースは中断される。スタート時のグリッドからの再開となり、山田のジャンプアップは水の泡と化す。しかも、周回数は当初のままながら、セーフティカースタートとされる。
SCの先導は2周に渡り、ようやくバトルが再開されることに。青木はリスタートを決めることができず、平中と佐々木を背後に置いたまま。やがて近藤も近づき、3周目には4台でのトップグループが形成される。このなかでさっそく動いたのが佐々木だった。7周目の3コーナーで平中に迫るも、ここでの逆転は許されず。しかし、そこから先で平中、青木を相次いでかわしてトップに佐々木が浮上。青木は近藤にもかわされて、4番手に後退する。
だが、これにて勝負は決せず。「まわりの人たちはタイヤを使っていなかったから、厳しいかなと思っていましたが思いの外、立ち上がりの蹴り出しが良かったし、終盤に差し掛かっても(タイヤが)まだまだ行けるぞという感触があった」という平中は、10周目の2コーナーで佐々木をかわしてトップに躍り出る。
「僕の力が足りなかった。つくづくそれを感じました」と、佐々木もお手上げ状態。トップに立ってからの平中はラストスパートもかけて、後続を振り切る余裕さえ見せて2連勝を飾ることとなった。「夏休み最高! こうなったら、来週のGTも行きますよ」と力強く宣言した。
この週末で41ポイントもの荒稼ぎを果たしたこともあり、それまでのランキング8番手から、一気に3番手にまで浮上することともなった。
佐々木に続く3位は近藤で、青木は再び順位を上げることを許されず。「いい時もあれば、悪い時もある。今日は悪い時だった……」と冷静に結果を受け止めていた。