夜間撮影時のポイントについて小笠原カメラマンに聞くと「夜は水銀灯の光がある場所でないと、基本的に撮影することはできません」と切り出す。夜間は太陽がある昼間とは異なりコース上に光が存在しない。しかし富士スピードウェイには夜間走行用の照明が備え付けられているため、まず夜間撮影を行う際には、コース上に光がある場所を探すことが大事だと言う。
小笠原カメラマンは、「水銀灯の光が路面に落ちていて、かつ自分好みの構図で撮影できる場所を見つけることがポイントになると思います」と語り、夜間では撮影技術よりも「とにかく光がある場所」を探すことが重要と説明する。
「今は富士スピードウェイホテルも開業したので、GRスープラコーナーなどはけっこう光がある場所です。そういった“人工的な光”がある場所を自分の足で探してみて下さい。写真撮影はとにかく歩き回ることが大事です」
また、夜間撮影で“してはいけないこと”として、小笠原カメラマンはマシンのヘッドライトの光をレンズに入れることを挙げる。「ヘッドライトの光を入れてしまうと(光の影響で)白く飛んでしまい絵になりません。ですので、自分に対して向かってくるマシンを撮影するときは、フロントを撮影するならヘッドライトの光が絶対に入らない場所で撮影します。最初のうちはマシンをサイドから撮影することをメインにしてみるのがいいでしょうね」
さらに小笠原カメラマンは、夜間撮影だからといって日が完全に暮れた時間帯ばかりを狙うのではなく、通称『マジックアワー』と呼ばれる日没直後、または日の出直前となる“薄暗い”数十分間の時間帯が「間違いなく一番綺麗にマシンを撮影できる」とオススメする。
なお、夜間撮影で重要だと思われるストロボについては、現在はカメラ本体の性能が向上し、カメラが光をとらえる能力の『ISO感度』も上げられるようになったため、周りの光を捉えられればストロボは必要ないともアドバイスする。
「アマチュアカメラマンの方がコースサイドからストロボを点灯させていますが、ストロボを点灯させるとタイヤやクルマの動きが止まってしまいます。さらに富士スピードウェイですとコースサイドから距離があり、ストロボを点灯させても正直届かないので、ストロボにはあまり頼らない方がいいかもしれません。ストロボを点灯させるよりも、光のある場所を探して撮影するのが確実だと思います」
さらに小笠原カメラマンは、夜間撮影で重要なポイントとして「絶対に連写をしてはいけない」と続ける。「連写で撮影することができても、それは“奇跡の1枚”にすぎません。まず始めは1枚1枚きちんと仕上げる意識を持つことが大切です」
そしてサーキットに来場した多くの人が撮影すると思われる打ち上げ花火は「ブレが大敵」とのことで、綺麗に撮影するなら三脚が必須と小笠原カメラマン。さらに手押しでカメラのシャッターを切るより、タイマー撮影もしくはカメラ本体に触れなくてもシャッターを切ることのできる『レリーズ』を使用して撮影したほうがいいと語る。なお、オススメの撮影場所は、やはり花火を一望できるADVANコーナー(ヘアピン)とのことだ。
普段からサーキットで撮影を行っているプロカメラマンたちにとっても、富士24時間は『この場所からこんな設定で撮影してみよう』という声が多く聞こえるレースでもある。一般の方にとっても、夜間走行という通常のレースでは撮影できない写真を撮ることができる絶好のチャンスになるため、ぜひサーキットに足を運び、このアドバイスを思い出しながら夜間撮影にチャレンジしてみてはいかがだろうか。
ENEOS スーパー耐久シリーズ2023第2戦『NAPAC 富士SUPER TEC 24時間レース』は、いよいよ今週末となる5月26〜28日に開催される。レースや場内イベント、観戦チケットの詳細については富士スピードウェイ公式サイトを確認してほしい。
■富士スピードウェイ公式サイト(イベント情報):https://www.fsw.tv/motorsports/race/07/2023-rd2-event.html
■観戦チケット詳細および販売ページ:https://www.fsw.tv/motorsports/ticket/07/2023-stai-rd2.html