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国内レース他 ニュース

投稿日: 2023.07.14 13:23

apr 2023スーパー耐久第3戦SUGO レースレポート

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国内レース他 | apr 2023スーパー耐久第3戦SUGO レースレポート

ENEOS スーパー耐久シリーズ2023 第3戦
開催地:スポーツランドSUGO(宮城県)/3.586km
7月8日(予選)
天候:曇りのち雨 コースコンディション:セミウェット 観客数:2,700人
7月9日(決勝)
天候:曇り一時雨 コースコンディション:ドライ一時ウェット 観客数:4,100人

2年ぶりのPP、見えていた勝利から、まさかのギヤトラブルで涙を飲む……

 2023年、全7戦で争われるスーパー耐久シリーズに、aprは引き続きFIA-GT3によって争われるST-Xクラスに臨む。4シーズン目となる『DENSO LEXUS RC F GT3』をドライブするのは、新たに加わった永井宏明選手、そして小高一斗選手と嵯峨宏紀選手だ。

 スポーツランドSUGOが舞台のシリーズ第3戦は、今季初の2グループ開催として、3時間で争われる。ST-Xクラスにとっては、バックマーカーを抜き続けるストレスから、圧倒的に解放されるので勝負に徹しやすく、目まぐるしく順位が入れ替わる一戦でもある。

 前回の富士24時間は、序盤に生じたトラブルを、何度も出されたセーフティカー(SC)やFCY(フルコースイエロー)、果てには1時間半近くに及んだ赤旗中断によって、挽回できぬまま終えざるを得なかった。だが、厳しい状況の中、完走を果たしたことで、目下のランキングは5位ではあるが、トップとの差は15ポイントでしかなく、まだウェイトハンデにも苦しまずにいることはプラスにとらえるべきだろう。テーマはひとつ、リベンジである。

公式予選 7月8日(土)13:45~

 今回からドライタイヤだけでなく、ウェットタイヤもブリヂストンから供給される。いち早くその特性をつかみたい……という思いに、天は応えてくれたのか、予選を控えた土曜日午前のフリー走行は雨の中での走行になった。ここでは小高選手がトップからコンマ5秒と遅れず、1分32秒764をマークして3番手に。

 その一方で、金曜日まではドライコンディションが保たれたことから、ドライセットにも上々の手応えが。専有走行の2回目では、小高選手が1分23秒620をマークしてトップに立ったことでも明らかだ。

 Aドライバー予選は昼まで降っていた雨もやんで、路面は走行ライン上を完全に乾かしていた。先に行われたグループ2では好タイムが出されていたため、永井選手は早々にアタックを開始。計測2周目には1分22秒875をマークしてトップに立つと、次の周には1分22秒809にまで短縮を果たし、2番手にコンマ2秒の差をつけた。

 しかし、この後に雨が再び降り始め、Bドライバー予選では路面が黒く染められてしまう。全車ドライタイヤで臨むも、なかなかタイヤが温まらず。小高選手が果敢にコースを攻め立て、ようやくタイヤが発動したのは、ラスト2周というタイミング。この好機を逃さず、1分22秒814を記した後、ラストアタックで1分21秒386にまでタイムを伸ばす。

 その結果、2番手ではあったが、トップとの差はコンマ1秒にも満たなかったため、永井選手との
合算タイムではトップに!『DENSO LEXUS RC F GT3』が2021年の第2戦、ここSUGO以来となる、2年ぶりのポールポジションを獲得した。

 そしてCドライバー予選では、嵯峨選手がユーズドタイヤを履いて決勝セットで走行。1分24秒305をベストタイムに、好タイムをコンスタントに刻んで、決勝に向けても確かな手応えをつかむこととなった。

永井宏明選手

「昨日の最後の最後に、セットアップのいい方向が見つかって、それをもとに、今日の予選で変更したのが、うまく当たりました。僕的にはいい予選ができたと思いますし、小高選手もコンディション悪いなか、最後に素晴らしいタイムを刻んでくれたので、ポールポジションが獲れて良かったです。嵯峨選手と3人で作った車は、本当に運転しやすくなりましたので、明日の決勝もいいラップを刻めるはずです」

小高一斗選手

「ずっとスリックで、残りの2周まではタイヤの温まりが来なくて、ずっと滑っている状態だったので、どうするか無線でやり取りしていて、最終的に徐々にタイヤも温まってきて、このまま降らないな ら、このまま行こうってチームと決断して」

「ほんのちょっと蒲生選手に負けたのは、個人的に悔しいですが、トータルとして良かったです。ここ最近、調子が良くなく、結果も残せていなかったので、明日の決勝につなげられればいいと思います。チームとしてまだ優勝したことがないので、決勝はしっかり勝てるように頑張ります」

嵯峨宏紀選手

「永井選手と小高選手が、すごくいいアタックをしてくれて、絶好のポジションになったので、安心しました。Cドライバー予選の時に、決勝に向けた満タンテストをやって、乗り味的に安定して走れる手応えも得られました」

「今週木曜日からやっている組み立てのなかで、対応できる引き出しはできているので、明日の決勝前のウォームアップで確認して、最終的に決定しても大丈夫だと思っています」

金曽裕人監督

「2年ぶりのポールで、やっぱり僕らはブリヂストンタイヤをGTでも使っているので、アドバンテージがあったのかなという気がします。RC Fも空力がいいので、SUGOは得意分野の方のサーキット。そこで永井選手が本気でフルアタックできたというところと、小高選手自身もドリフト車両で滑らす運転を探求しているらしく、それもいい方向に行ったコンディションでした」

「木曜日からダンパーセットの方向性を少し変えてみて、今までのRC Fのキャラとは違うGTっぽいセットアップしていったら、ブリヂストンのタイヤがそれを受け止めてくれて想像以上に良くなっていきました。我々の前も含めて7年間、RC Fは最高2位で、S耐久では優勝したことのない車なので、高性能でRCFに合うブリヂストンタイヤと共に、明日は何があっても初優勝したいです!」

2023スーパー耐久第3戦SUGO DENSO LEXUS RC F GT3(永井宏明/小高一斗/嵯峨宏紀)
2023スーパー耐久第3戦SUGO DENSO LEXUS RC F GT3(永井宏明/小高一斗/嵯峨宏紀)

決勝レース 7月9日(日)14:00~

 今回の決勝は2グループ開催で、3時間で競われる。日曜日の午前に行われたグループ2決勝は青空の下、一度もSCやFCYが出なかった。グループ1決勝もそうあって、クリーンファイトが繰り広げられて欲しいところ。しかしながら、スタート進行が近づくにつれ、空模様が不安定に。うっすら雲がかかり、間もなく雨が降ると、伝える雨雲レーダーもあったほど。

 決勝を前に10分間のウォームアップ走行が行われ、『DENSO LEXUS RC F GT3』で初めてスタートを担当する永井選手がドライブ。アウト~インだけで走行を済ませるも、「十分確認できました。大丈夫です!」と力強い言葉が返ってきた。

 今回、ST-Xクラスには5台がエントリー。他の4台はいずれもプロを充ててきたため、スタートから間もなく永井選手はトップを明け渡すが、これは想定の範囲。いかに大きく遅れずに済むかがポイントなのだが、予定外の試練も与えられることに。フォーメイションラップの頃から落ち始めていた雨が、5周を過ぎたあたりから本格的に降り始めたのだ。5周ほど経つとやんだものの、その後も同じような状況が何度も続く。

 しかし、永井選手はそのつどコースにしっかり留まり、安定のラップタイムを刻んで義務周回時間の1時間を1分超えた41周目、嵯峨選手に交代。第2スティントはライバルがAドライバーを充ててきたから、そこは嵯峨選手の腕の見せどころだ。50周目にはまず一台を、64周目にはもう一台を抜いて3番手に浮上した。

 その後も2番手との差を徐々に詰めていく最中に、ST-Zクラスのトップが馬の背でコースアウト。車両回収にFCYが提示されるも、すぐにSCに改められたため、チームは迷わず小高選手への交代を決断し、残り1時間8分を託すことに。この間、73周目にいったん4番手に退くも、上位との差はぎゅっと凝縮。

 77周目には3番手に返り咲き、また2番手が84周目にドライバー交代を行うと、そのアウトラップにオーバーテイクを果たす。トップはAドライバーが規定時間を満たせずにいたから、初優勝が見えて来ており時間の問題だと思われた。

 しかし、92周目のハイポイントコーナーまでの短いストレートで、『DENSO LEXUS RC F GT3』は鈍い音を響かせた後、スローダウン。その後ピットに戻ることに……。実はギヤトラブルが嵯峨選手のドライブ中に発生しており、2速を失っていたのが、いよいよ4速にしか入らなくなってしまったためだ。

 応急措置では直せるレベルではなかったため、しばらくピットで待機。それでもラスト2周を4速ホールド状態で走行し、5位完走は果たすことはできた。チームの速さを求める努力でポールポジションを獲得し、ポテンシャルの向上は確認できたからこそ、悔しさが残る一戦とはなった。

 とはいえ、ポールポジションポイントと5位のポイントを獲得できたのでランキングトップとの差も17ポイント差に収められたのは、きっと今後に重要な意義を持つはずだ。シリーズ第4戦は、7月29~30日にオートポリスで、5時間レースとして開催される。まずはこの一戦で初優勝し、最後に笑いたいものだ。

永井宏明選手

「チャンスはあったと思います。メカトラブルは絶対ないとは言わないですけど、こんな時に出るかって時に出てしまいました。途中で雨も降ってきてコンディションも悪かったですけど、みんな頑張って走っただけに、こんな結果になって残念です。ただ、予選は良かったし、車はいい方向に来ているので、トラブルがまた出ないように準備して、次もポールポジションを狙い優勝したいと思います」

小高一斗選手

「僕が乗った時にはもう2速がなくて、ずっと3速で走っていましたが、その3速も壊れて、そのタイミングで4速は入ったんですが、5速にも上がらなくなって、4速ホールドみたいな状態になったので、これ以上走るとコース上で皆様に迷惑をかけるし、ミッション壊れてノーポイントになってしまう可能性があったのでピットに戻りました」

「最後2周だけ転がして最低ラインの結果はクリアーでした。予選も戦えていたし、決勝も2速がなかった中でも、何とか工夫して戦えたし。今回、展開的にもSCに救われて、事実上トップの状態で僕は走れていたので、何も起きなければという話になりますが……。でも、車自体はかなり進歩しているので、次も頑張ります」

嵯峨宏紀選手

「勝てたレースでしたね。永井選手から代わって僕が座ったら、ミッションが何も反応しなくって。ジャッキダウンして、いざエンジンかけて行こうとしてもギヤが動かなく、色々試してる間に入ったのはいいけれど、その時にギヤが壊れたんだと思います。2速がなくなってからはコツコツ走って抜けたけど、小高選手に代わってから4速しかない状態に最後はなったようです。ついてなかったと思うし、勝てるレースだったというのが正直なところで……。ただ、レースウィークを通じての組み立ては、決して悪くかったですし、次につながると思います」

金曽裕人監督

「RCFもドライバーも速さもあり、初優勝できる可能性がすごくあったのに、残念な結果になりました。ピットインでのトラブルは、ギヤ同士が噛み合わず空回りして成るもの、滅多に起こらない部類だがレース専用ミッションならではの要因でトラブルの部類では無い。その後の対処方法が致命的で、セカンドスティントを戦う前にスタートで2速ギヤを壊してしまった」

「我々は、その対処方法マニュアルや、誤作動防止策が想定出来ていなく、オペレーション不足は否めず。菅生戦はウィークを通し速く強いRCFだったのにかかわらず、我々で壊し、優勝を逃したのは事実であり、応援下さった皆様に申し訳なく、強く反省しなければならない。まだまだ足りないところを埋めていきます、改善します、初優勝が近づいてきたので!次戦オートポリスをご期待ください」

2023スーパー耐久第3戦SUGO DENSO LEXUS RC F GT3(永井宏明/小高一斗/嵯峨宏紀)
2023スーパー耐久第3戦SUGO DENSO LEXUS RC F GT3(永井宏明/小高一斗/嵯峨宏紀)


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