次にドライタイヤの選択はどうだったのか? フェラーリはソフトタイヤを選択している。しかし、前後を走るレッドブルがスーパーソフトを選択していたため、セーフティーカー明けにライコネンがマックス・フェルスタッペンにオーバーテイクさせ、その後レッドブル渋滞に引っかかり、それがルイス・ハミルトンの独走を許す原因となってしまった。だが、コリンズはフェラーリのドライタイヤの選択は必ずしも間違ってはいなかったという。
「確かに私たちはチェコにスーパーソフトを履かせましたが、それはパンクして後方に下がってしまうことが影響しています。タイヤ選択はマシンのセットアップ、レース状況によっても変わるので、一概にどちらが正しいとは言えません」
これはメルセデスAMGのチーフストラテジストのジェームズ・ヴァレスも同意見だ。
「セーフティーカー明けの走りだけを見れば、いかにもスーパーソフトを選択したレッドブルのほうが正しい作戦のように見えるが、あの時点で残り周回数は50周以上あり、25周が限界だったスーパーソフトでは戦略的に難しいとわれわれは判断した(メルセデスAMGは2台ともフェラーリと同じソフトを選択)。実際、レッドブルはスーパーソフトを履いて25周前後から左フロントのグリップに悩みだしたじゃないか」
フェラーリが採ったドライタイヤの選択に間違いはなかったが、理解できないのはライコネンの2度目のピットストップのタイミングだとコリンズは言う。
「チェコの2回目のピットストップは20周目ですが、あれはチェコがなかなかフェルナンド(・アロンソ)を抜けなかったから。本来ははもっと長く走ることができました。しかし、キミを39周目まで引っ張ったのは、ラップタイム的にも理解できませんね」
オーストラリアGPでは見事なレース戦略でメルセデスAMGを逆転して勝利をつかんだフェラーリ。しかし、2戦目の中国GPではいくつか疑問が残る決断があったことは否めない。王者メルセデスAMGを倒すには、わずかなミスも許されない。フェラーリの戦略に、今後も注目していきたい。