ハースF1チームのチーフエンジニアとして今年で2年目を迎える小松礼雄氏。創設2年目の新興チームであるハースはどのようにF1を戦うのか。現場の現役エンジニアが語る、リアルF1と舞台裏──F1速報サイトでしか読めない、完全オリジナルコラムの第5回目をお届けします。
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なす術がなかったグロージャンの低迷……
2台とも入賞圏外で鬼門になったロシアGP
前回のコラムで「ロシアGPが第一のハードルになる」と書きましたが、実際にその通りになってしまいました……。
昨年に比べれば良かったと言えますが、予選からの路面状況の変化を見て計算するとケビン(マグヌッセン)の位置はトロロッソの後ろでしたし、ロマン(グロージャン)は苦手のソチでまったくダメでしたから、ロシアGPはやっぱり僕らにとって鬼門でしたね。
結果的に13位に終わったケビンですが、FP1からFP3にかけてトップのフェラーリとの差は大きかったとはいえ、フォース・インディアやトロロッソに対してはほぼ予想していた位置にいました。問題は、Q1のパフォーマンスです。
ケビンは15位でギリギリ通過しましたが、Q1の2回目のアタックでは1回目のタイムを更新することができず、16位の(ジョリオン)パーマーとはわずか0.054秒差しかありませんでした。Q1からQ2にかけての伸びしろは、0.391秒上げているので合格点を挙げられるのですが、いかんせんQ1のタイムが悪すぎます。ここが現在の彼の一番の課題だと言えます。
レースに関しては好スタートを切り、トロロッソの1台と(エステバン)オコンを抜いたところまでは良かったと思います。ただし、ターン2のブレーキングが甘すぎました。ケビンは確実に1車身以上前にいたのにも関わらず、オコンにブレーキングで抜き返されてしまいましたから。