F1ジャーナリストの今宮純氏が様々な要素を【対決】させていく新企画。第5回はインディ500を戦ったフェルナンド・アロンソを分析。トップ争いを繰り広げながらも、あと50マイルのところでエンジントラブルによりストップ。しかし、“ルーキー”アロンソの走りは観客たちに感動与えスタンディング・オベーションで迎えられた。
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あと50マイル。フェルナンド・アロンソの「インディ冒険」――最も速い2週間は突然すぎるエンディングだった。180周目、2時間47分31秒3192。初めて第101回大会に挑んだルーキーはエンジントラブルによって、24位で『インディ450マイル』を終えた。
1コーナーでマシンを止めると、アロンソは大きく手を上げた。そしてもう一度、スタジアムに向けて親指でサムアップ。このシーンを見るためだけでも、この日ここに来た価値はあったとスピードウェイを埋め尽くす観客達はそう感じたはずだ。
アロンソには本物の“スタンディング・オベーション”が見えた。F1スペインGPでもこうはならない、この3年ずっとそうだ。リタイア後、歩いてピットまで戻る間、ルーキーは自分も感動しているのに気付くと小さな笑みを浮かべた。
決勝二日前、最後の走行になるカーブ・デイは5位。燃費確認とダウンフォースバランス調整、アンドレッティ・チームメイトとのグループランを実施。2位佐藤琢磨は順調、7位アレクサンダー・ロッシはマシン状態がベスト、関係者はそう分析し「昨年ウイナーが先陣を切る」と予想した。
フリー走行から劣勢なシボレー系チームは予選初日、カウルにある工夫(?)をしてエアロチューン対策に出たという。しかし予選二日目に“修正”、何度も車検チェックを行った(規定違反を憂慮したのか)。年に一度きりの決戦、アメリカGMシボレーとしてはまたホンダにやられるわけにはいかない。秘策を狙ったが断念したのか、内実は不明だが……。
3列目(ファスト9)にホンダ6台、シボレー3台。優勢でも予選中アロンソにエンジントラブルが発生したほか、フリー走行でも何件か起き、その不安は払拭できていない。外からでは知りえないプレッシャーがアメリカのHPD(ホンダ・パフォーマンス・ディベロップメント)スタッフにはあった。
オープニング・セレモニーがすべて終わり、12時26分にグリッドから33台のマシンが放たれた。5位アロンソは9番手に下がり佐藤が背後にまわる。