さて乱戦ゲーム展開になればなるほど、かならずそこに健闘する者が現われるのがF1だ。10番グリッドから一時17番手に転落しながら、人生ゲームさながら勝ち上がったダニエル・リカルド。
赤旗後のリスタートで4台グループバトルの1コーナー、躊躇せずインサイド・ブレーキングで3位進出がハイライトシーン。数少ないオーバーテイクだから本物のオーバーテイクがより際立つ。
タイヤ温度や周回履歴、レース戦略などが重視されるいま、コース上で決めるべきときに決めるのがリカルドのレーシング・キャラクター。
2位バトル決着はゴールライン0.105秒差だった。周回遅れまで落ち込んでいたバルテリ・ボッタスが諦めずに追い、チェッカーフラッグ寸前に18歳239日ランス・ストロールから2位をかすめとった。
抜かれても悔いなしだろう。週末ずっとノーミスのまま人が変わったかのように(失礼)、精確なドライビングを見せていたストロール。生みの親はローレンスさん、育ての親はウイリアムズのパディ・ロウさん、昨年カナダGPボッタス3位以来の表彰台だ。新鋭を育てる古豪チームの快挙が、2時間の乱戦にいい後味を添えた。