来週末の第1戦オーストラリアGPから、いよいよ、ホンダとトロロッソの新しい挑戦が幕を開ける。ここで改めてお伝えしたい、トロロッソというチームの詳細とホンダとの関係。チームの代表、フランツ・トストに話を聞く第2回目。日本で行ったエンジニアミーティングの印象、そしてドライバーのふたりについて聞いた。
──モータースポーツの世界でホンダの名前を耳にしたとき、あなたの脳裏に浮かぶのはどういったイメージですか? ホンダという企業に関するイメージと、あなたの印象を聞かせてください。
「まず私が思い浮かべるのは、彼らの最初のF1マシンだ。今日、そのモデルカーを受け取ったよ。子供のころの私はいつもモータースポーツ誌や本を読みふけっていて、頭のなかにすべてを叩き込んでいた。ときには学校にいるときでさえ、そうした雑誌や本を読んでいたものだから、先生たちはあまり私のことを良く思っていなかったけれど、そんなことは大した問題じゃない」
「当時のことはよく覚えているし、(ホンダが)ウイリアムズやマクラーレンとともに大きな成功を収め、素晴らしい勝利をあげていた。当時はカワモト(川本信彦、後のホンダ第4代社長)という人がエンジニアのトップだったことも覚えている。それから彼らの哲学が、モータースポーツを介して若いエンジニアたちを育成してきたこともね」
「あの時代にホンダが持っていた哲学は、かなり良いものだったと考えている。現在はすべての要素が複雑化しているので、エンジニアをいつでも変更するというわけにもいかないし、以前よりも少し難しいのだろう。それでもホンダはこの状況を処理する方法を知っているし、ホンダにはF1でも最高レベルの素晴らしいインフラがある」
「サクラ(HRD Sakura/本田技術研究所)を見たことのある者なら、信じられない設備と言うだろう。彼らはダイナモなども含め、何でも持っている。適切なテストを行う機材だけでなく、そのための技術的な知識もあると信じている。つまり、あとは時間の問題だ。F1で成功するだけの資金も持ち合わせている」
──モータースポーツはホンダのDNAでもあります。これまでに経営陣と行ってきたミーティングのなかで、『モータースポーツ活動の傍らに市販車を作っているレーシングカンパニー』と仕事をしているという感触を受けたことはありますか?
「そういうこともあるね。ホンダエンジニアたちのモチベーションは非常に高く、12月初旬にSakuraでミーティングを開いた際には、午前中に議論したことに対する提案を2、3時間後にホンダが提出してきて、こちらのエンジニアが驚くということがあった。そして今では、私が午後にメールを送信すると、翌朝に出勤したころには返事が届いている。Sakuraには非常に良い精神が宿っているのだ。一度成功を収めたら、この部分はさらに高まると考えている。多くの人にとって、成功体験は最高の動機づけになるからね」
──カスタマーとしてパワーユニット/エンジンのパッケージを買ってマシンに搭載するということではなく、ワークスとしてパートナーを持つということはトロロッソをどのように変えるでしょうか?
「大きく変えるだろうし、そのことについてはとても誇りに思っている。こうしたことは私たとのチーム史上初めてのことだ。こちらのエンジニアとホンダのエンジニアが『この位置に燃料タンクが入るのなら、シャシー的に見て、このパイプはこう通ったほうがいいんじゃないか』なんて話をしていたりする。ホンダは私たちのパートナーなのだから、マシンのすべてを最適化するプロセスは、非常に大切なことだ」
「エンジンやパワーユニットをカスタマーとして得ていたころは、それをうまく載せられても、載せられなかったとしても、それは私たち自身の問題だった。つまり、今回のことは私たちにとってまったく新しい経験なのだ。競争力のあるマシンを手にして、成功を収められるシーズンにしたいと願っている」