かつてジョーダンなどのF1チームでテクニカルディレクターを務めていたゲイリー・アンダーソンが、一貫性のないF1ルールを改善して多くのファンと取り込んでいくための方法を提案する夏の特別コラム。
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本当に退屈だったハンガリーGPが、F1に影を落としている一連の問題を際立たせた。その問題というのは苛立たしいほど解決するのが簡単だというのに……。
F1は40年以上にわたって私の人生の一部であり、偉大なスポーツである。しかし、この競技をより魅力的なものにするためにはライトなファンとコアなファン両方に訴えかける施策を行い、さらに規則の面でも改善を行う必要がある。
私はフリー走行、予選、決勝とハンガリーGPを全て見た。予選と決勝が始まった直後は何度かエキサイティングな瞬間があったが、基本的にはとてもつまらないレースだった。
どうやらF1は自らを救いたくないようだ。規則はめちゃくちゃだし、我々が普段生きている世界がおかしく思えるくらいにルールの管理に一貫性がないのだ。
気まぐれな適用:トラックリミット問題
まず私がはらわたが煮えくり返っていること、それはトラックリミットだ。
今のF1は、普通に行き当たりばったりの規則が横行している。気まぐれに適用され、一貫性が無さすぎ、まるで規則の体をなしていない。テレビ中継ではマシンがラインを超えてコーナリングする様子が何度もリプレイされるが、それが一体何だと言うのだろう。トラックリミットを超えてペナルティを受けるドライバーなんて、そもそも滅多にいないことなのだ。
どんな規則にも言えることだが、このトラックリミットの規則にも当然、一貫性が必要だ。レースを含めて全てのセッションで厳格に実施される必要がある。カットすることでタイムが短縮できたり、タイヤにメリットがある限り、ドライバーたちはトラックリミットを超え続けるからだ。
繰り返しになるが、テレビのコメンテーターを含め関係者全員が混乱しているのだ。こんな状況で視聴者はどうやってルールを解釈できようか。
このトラックリミット規定に関し、私からの提案は以下の通りだ。
1.トラックリミットのことは忘れ、ドライバーたちには使いたいだけコースをワイドに使わせよう。ただでさえ彼らはそうするので、少なくともルールは一貫性があるものになる。
2.トラックリミットに“ハイグリップ・ペイント”と揶揄されるグリップのあるペイントをする代わりに、滑りやすい塗料を塗ろう。ウエットのときにどうなるかをドライバーたちはすぐに学習し、カーブに近寄らなくなるだろう。
ドライバーによって解釈が異なるイエローフラッグ
次の改善エリアはイエローフラッグだ。
この記事は国内独占契約により英 AUTOSPORT.com 提供の情報をもとに作成しています