99年にシューマッハー、デイモン・ヒル、ジャック・ビルヌーブ(リカルド・ゾンタも)クラッシュした『レジェンド・コーナー』を彼はエントリーからアウトぎりぎりラインを描き、大胆に縁石カット。進入ラインがセンチメートル単位でずれていたなら、激突した歴代王者の“仲間入り”していただろう。
02年現在コースになってからの15戦でPP勝利者は8人、敗北者は7人。荒れるか荒れないか、レースの確率は半々なのだ。ベッテルはコース左サイドのPP位置にフェラーリSF71Hをやや右寄りに止めた。隣のボッタスをけん制するためだ。
ハイネケン・カナダGPのスタート・レッドシグナルは☆印、消灯後に綺麗に加速ダッシュしたベッテルは後方の事故など関係なくクリーン・エアのなかを独走していった。
あえて言うならドキッとしたのはふたつだけ。ひとつは25周目の10コーナー・ヘアピンでのロックアップ(1分16秒759ワースト・ラップ)。もう一つは69周目の早すぎたチェッカーフラッグ・ミス事件だ。
事態を理解するベッテルに、チャンピオンシップ首位を祝うように“ダブル・チェッカー”が彼女ではなく、正規マーシャルによってもう一度振られた。遂にフェラーリはマシン&PU実力でメルセデスを凌駕し、ベッテルはハミルトンを得意なカナダGPで彼を打ちのめした。祝・ジル優勝40周年記念レースーー。