ただし、金曜日に走らせたパワーユニットは封印されているので、手を加えることはできない。田辺TDも「(スペック3は)このまま、飛行機に乗せて、鈴鹿へ搬送します。ただ、その飛行機がキャンセルになって、鈴鹿到着が一日遅れるので、少し慌てていますが」と答えている。
では、具体的にはこれから鈴鹿までどんな作業をするのか。
「ロシアGPの翌日にイギリスのミルトンキーンズにあるHRD MKのファクトリーのダイナモで、今回投入したスペック3と同じスペックのPUに、ギヤボックスをくっつけた状態でPUを稼働させます。トロロッソのエンジニアにも来てもらって、再調整します。今回投入する前にも、ギヤボックスをつけた状態でダイナモを回してチェックしていたんですが、ダイナモの特性上、普通にシフトチェンジするとギヤボックスが壊れやすくなるため、実際のコースを走るシフトチェンジとは異なる使い方をしなければならないため、想定していなかった振動が金曜日に出てしまいました」
気になるのは、もしHRD MKでのテストで、シフトチェンジ時の振動の問題が解決しなかった場合、日本GPへのスペック3投入断念もあり得るのかということだ。
田辺TDは、少し間をおいて、こう答えた。
「きちんと仕上げて持っていきます」
ロシアGPの金曜日に登場した新スペックは、わずか1日で姿を消した。しかし、熟成が十分ではない状態にもかかわらず、金曜日にガスリーが8番手のタイムをマーク。その高いポテンシャルを秘めたスペック3を搭載したトロロッソ・ホンダの走りをロシアGPでこれ以上、見られないことは残念だが、その楽しみは次戦、鈴鹿まで待つことにしよう。