F1シーズンを転戦していると、いろいろな人との出会いがある。そんな人たちに、「あなたは何しに?」と尋ねる連載企画。今回はGP3に参戦する女性ドライバー、コロンビア出身のタチアナ・カルデロンだ。
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メキシコGP開幕前日の木曜日、FIAによるセーフティカーおよびメディカルカーのチェック走行を終えた後、セーフティカーが停まっているFIAのガレージに、一人の女性がやってきた。GP3シリーズに参戦しているタチアナ・カルデロンだ。
FIAが用意したヘルメットをかぶって助手席に乗ったカルデロンは、セーフティカーを管理するメルセデスAMGのスタッフが運転によって、コースを数周した。なぜ、カルデロンはセーフティカーに乗せられて、アウトドローモ・エルマノス・ロドリゲスを走行していたのか。
セーフティカーを管理するメルセデスAMGのスタッフによれば、「メキシコGPの後に行われるピレリのタイヤテストを行うザウバーから、テストにタチアナが参加することが決定したため、コース下見をセーフティカーでやらせてくれないかという要請がチームからあったんだ」という。
実際に運転せずに、同乗にとどまったのは、グランプリ期間中のサーキットでの走行は、FIAによって厳しく管理されており、レースドライバーはもちろん、テストドライバーもセッション以外でのコースでの実車走行はたとえF1マシン以外であっても自由に行うことはできないためだったと考えられる(お客さんを市販車に乗せてコースを1周する「Hot Lap」などの公式イベントは除く)。
カルデロンは、GP3のドライバーである同時に、ザウバーのテストドライバーでもある。10月30日(火)にアウトドローモ・エルマノス・ロドリゲスでザウバーが単独で行うピレリのタイヤテスト期間中に、プロモーションイベントとして、ザウバーの今年のマシンであるC37を走らせることになったのだ。
カルデロンが走行するのはコマーシャル用のフィルミング走行で、100kmに限定されている。ただし、この走行によって、カルデロンはコロンビア出身としてだけでなく、ラテンアメリカ出身の女性ドライバーとして初めてF1マシンをコースで走らせることとなる。
「私のキャリアで初めてF1マシンを走らせる機会を与えてくれたアルファロメオ・ザウバー、スクーデリア・テルメックス、テルセルをはじめ、私をサポートしてくれた多くの方々に心から感謝しており、興奮しています」
「いつの日か、モータースポーツの最高峰であるF1マシンを走らせることを目標にこれまで頑張ってきました。ザウバーC37をアウトドローモ・エルマノス・ロドリゲスを走らせることは、素晴らしい経験になるでしょう。ラテンアメリカ出身のドライバーとして、メキシコはF1デビューするのにこれ以上の場所はありません」