しかし、そのデニスがマクラーレン・グループの会長兼CEOを解任されたいまとなっては、もうチームに義理はない。もちろん、チームとの契約を2017年末まで結んでいるため、バトンは引退とは語らなかったが、「2018年にF1のレースに復帰することはないだろう」という言葉は、このアブダビGPがバトンにとって事実上のF1からの引退を意味する。
しかし、「引退」という二文字を使用しなかったことで、メディアの中には違った見方をする者もいる。あるイギリスの新聞記者はこう話す。
「ジェンソンは『これがラストレースだと思って臨む』と言っただけで、これがラストレースただとは言っていない。もちろん、彼が2018年にF1に復帰する可能性はかなり低いが、ゼロではないと思う」
ただし、バトンが今週末、家族や多くの知人をアブダビに招待していることも確かである。その知人の中には、BAR時代に広報を務めていたジュール・ゴウの姿もあった。
しかも、単に招待しているだけでなく、家族や知人たち一緒にサーキットを後にしていることから、週末は一緒に行動しているものと考えられ、バトンがこの一戦に賭ける気持ちがいつも違うのは想像に難しくない。
バトンはかつてウイリアムズと契約しながらBARにとどまったことがあったり、婚約していた彼女と別れたり、心変わりした前科が何度かある。今回の引退宣言は果たして……。
1 2