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F1 ニュース

投稿日: 2021.10.18 11:54
更新日: 2021.10.18 11:55

フランツ・トストが語るホンダF1「彼らはレーシングスピリットを持つ企業だ。だからこそ成功を収めている」

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F1 | フランツ・トストが語るホンダF1「彼らはレーシングスピリットを持つ企業だ。だからこそ成功を収めている」

──2017年、マクラーレンとホンダは、まるでうまくいっていなかった結婚生活がついに壊れてしまったかのように、関係を終えました。にもかかわらず、2018年には無理でも2019年にはホンダのスタッフたちが成果を出せるようになると、当時、何を見て確信したのでしょう。

「エンジニアたちを含め、人々との話し合いのなかでそう思ったのだ。HRD Sakuraとはうまくコミュニケーションが取れていた。エンジニアと話をして、彼らが以前話をしていたときよりもあらゆることについて理解を深めているということが分かった。彼らはやり方さえ見つけられれば、成果に結びつけることができる。私は日本人のことをよく知っていたから、そう思ったんだ。実際、彼らはうまくやってみせた」

──そして迎えた2018年シーズン、ピエール・ガスリー(トロロッソ・ホンダ)が第2戦バーレーンGPで4位を獲得しました。あれでプレッシャーがある程度取り除かれたのではないですか?

「たしかに、素晴らしいかたちでシーズンをスタートすることができた。バーレーンは強力なパワーユニットが必要とされるサーキットだ。そこで、ホンダが正しい方向に向かっているということを、シーズン序盤の段階で示すことができたのだからね」

──しかし、初年度はグリッドダウンペナルティが多かったですね。戦略の一部だったのだと思いますが、新しいアップデートが入れられることは分かっていたのですか?

「我々の哲学ははっきりしていた。私はホンダのエンジニアたちに『信頼性のことは考えないでください』と言った。『来年、レッドブル・レーシングとともに勝ちたいのであれば、今はパワーユニットから最高のパフォーマンスを引き出すことを目指してください』と言ったのだ。その結果としてペナルティを何度か受けた。それは戦略の一部だった」

──2018年のモントリオール(カナダGP)では、あなたはオフィスでホンダとほかのパワーユニットのグラフを見せて、ホンダがどれだけ強力なのかを私に解説してくれましたね。レッドブルが(パワーユニットパートナーを)選択する期限が迫ってきていたころのことです。レッドブルが決断を下すにはいいタイミングでした。

「期限がきたからというよりも、プロセスが進行した結果、ああいう結論にいたったのだ。レッドブル・テクノロジーズ(RBT)からはすべての情報を要求されていた。彼らは詳細にいたるすべての点について明確に把握することを望むからね。特定の日があって、その日のうちに決めるというようなことではなかった。彼らはホンダの仕事を非常に注意深く、きわめて詳細に、集中的に調査した。その結果、ホンダと契約することに決めたのだ」

──レッドブルが様子見していた2018年は、あなた方は単独でマニュファクチャラーのワークス待遇でした。エンジニアにとっては協力し合って働くことができて非常にやりやすかったでしょうし、素晴らしい1年だったのではありませんか?

「もちろんだ。ワークスチームという立場に立ったのは初めてのことだった。パワーユニット側のデザイナーと我々のデザイナーが一緒にじっくり話し合い、エキゾーストシステムやさまざまなユニットを最適化し、重心の面で最も都合がいいように、適切な位置に収めるための道を探った。もちろん、空力についての最適化も考慮に入れる。これは我々にとってまったく新しい感覚であり、経験だった。以前はサプライヤーからパワーユニットを渡されて、『はい、ではこれをマシンに積んでください』と言われて終わりだった。我々は、そのパワーユニットを元にしてマシンを作り上げるしかなかった」

「しかしこのとき初めて、我々のエンジニアの意見も入れて、パワーユニットや周囲のパーツなどのポジションを最適化し、それをもとにしてすべてのことを決めていくことができたのだ。これは非常に大きなアドバンテージになった」

──それによってトロロッソのメンバーは多くのことを学んだことでしょう。その間に経験を積み、前進していくことができたと思います。しかし、2019年にはレッドブルもホンダを搭載することになりました。

「RBTとの協業は、次なる重要なステップだった。私は、RBTはF1で最も優れたエンジニアリング部門だと考えている。彼らが関与するようになってからは、彼らがやり方を決めるようになった。だが、それは我々にとってはプラスでしかない。そこからもまた学ぶことができるのだから」

──トロロッソは長年レッドブル・レーシングのために若手ドライバーたちを鍛える役割を果たしてきました。ホンダを搭載するようになり、レッドブルがあなた方のチームを技術的な観点からもより観察し、事態を見守るようになったことによって、何か状況は変わりましたか?

「活動を始めてから2008年までは、2チームは緊密に協力し合っていた。その後も我々は協力し合うことを望んでいたが、どういうわけか彼らと我々は別のエンジンを使うことが多かった。それによって我々は違うギヤボックスやリヤサスペンションを使うことになった。私はいつも思っていた。『なぜ自分たちでギヤボックスを作らなければならないのだ。RBTから提供してもらうべきなのに』とね。だが、エンジンが違っていては仕方がない。今は同じパワーユニットを搭載しているので、RBTからリヤパートを引き継ぐことができている」

約束2:2019年にレッドブルで勝利する/第9戦オーストリアGPでフェラーリのシャルル・ルクレールとの激闘の末、マックス・フェルスタッペンが優勝。ホンダにとって2015年のF1復帰後初、2006年以来の13年ぶりとなる勝利となった。
約束2:2019年にレッドブルで勝利する/第9戦オーストリアGPでフェラーリのシャルル・ルクレールとの激闘の末、マックス・フェルスタッペンが優勝。ホンダにとって2015年のF1復帰後初、2006年以来の13年ぶりとなる勝利となった。

■優勝後に届いたメッセージ


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