ホンダF1復帰2年目から総責任者の役割を担っている長谷川祐介氏が2016年シーズン振り返り、そして17年の展望を一問一答していく後編。トークン制度が廃止される2017年はどのようにパワーユニットの開発を加速させていくのだろうか。
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――16年のホンダは信頼性が向上しただけでなく、デプロイや馬力も改善されました。15年のパワーユニットと何が変わったのでしょうか。
長谷川祐介(以下長谷川):信頼性とERSシステムの向上に関しては、かなり高いレベルで実現できたと思っています。その結果として、15年に実現できなかった予選でのQ3進出を達成し、レースでもより多くのポイント獲得につなげることができたと思っています。デプロイの改善にあたっては、まずターボを変えました。さらにベルギーGPではコンプレッサーもアップデートしています。ターボに関しては、具体的に羽のデザインを変更しました。15年はVバンク角の中に収めるために、小さくせざるをえなかったのですが、16年は(それをVバンク角の外に出して)スクロールを大きくしました。ただし、これはマクラーレンに言われて小さくなったというわけではありません。我々の中で、できるだけコンパクトにしたほうがいいと考えてやっただけです。ですから、サイズ・ゼロというコンセプトは16年も捨ててはいなかったし、実際、全体のパッケージとしては、15年よりも16年のほうがコンパクトになり、かつ軽量化されていました。それは17年も継続していくつもりです。
――ICE(エンジン本体)はどうだったのですか。
長谷川:エンジンも15年から16年にかけて大きく変え、ステップアップさせました。ただ、デプロイの改善に比べると、こちらの方は、満足のいく結果は得られなかったというのが正直な感想です。
――何が問題だったのでしょうか。