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F1 ニュース

投稿日: 2023.08.08 12:00
更新日: 2023.08.08 03:31

【中野信治のF1分析/第13戦】ベルギー訪問で感じた日本人ドライバーの成長。好調マクラーレンと対象的なフェラーリ

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F1 | 【中野信治のF1分析/第13戦】ベルギー訪問で感じた日本人ドライバーの成長。好調マクラーレンと対象的なフェラーリ

 スパ・フランコルシャン・サーキットを舞台に行われた2023年第13戦ベルギーGPは、マックス・フェルスタッペン(レッドブル)が今季10勝目を飾りました。元F1ドライバーでホンダの若手育成を担当する中野信治氏は今回、約4年ぶりに海外GPの現場を訪れました。間近で見届けた岩佐歩夢(ダムス)のFIA F2での戦いぶりや成長、そして今季F1のシーズン前半戦までの戦い、そして後半戦へ向けた展望について独自の視点で振り返ります。

  ☆  ☆  ☆  ☆  ☆

 今季3度目のスプリントも開催されたベルギーGPはフェルスタッペンが完勝し、レッドブルが開幕12連勝という新記録を樹立しました。(角田)裕毅(アルファタウリ)も8戦ぶりの入賞を果たすなど、今回はさまざまな場面で見せ場を作ってくれましたね。土曜日のスプリントは裕毅にとっては流れもなく難しい状況となりましたけど、日曜の決勝は素晴らしい走りをみせ、今季3度目のポイントを持ち帰りました。かなりダウンフォースを減らすセットアップで挑んだなか、難しいマシンをうまく乗りこなせていましたね。

 一方、チームメイトのダニエル・リカルドはまだF1復帰2戦目ということもあり、今回は苦しんでいた印象です。これまでアルファタウリのクルマに乗り続けていた裕毅にアドバンテージがあるのは当然だと思いますが、裕毅にとっては今回のレースはサマーブレイク明けのシーズン後半に向けてもポジティブな結果となったと感じます。

2023年F1第13戦ベルギーGP 角田裕毅(アルファタウリ)
2023年F1第13戦ベルギーGP 角田裕毅(アルファタウリ)

 さて、今回私は若手ドライバー育成の取り組みの一環でべルギーGPの現場に行きました。2019年のベルギーGP以来のF1ヨーロッパラウンド訪問でしたので、日本GP以外で初めて裕毅のF1での走りをこの目で見ることができましたし、FIA F2を戦う歩夢の戦いを間近で見ることもできました。

 歩夢に関しては予選から不運でした。迫り来る雨を避けてアタック入ろうにもピット位置がピットレーン出口から遠く、アタックに入ったら雨粒が降り注ぐ状況となり、予選は16番手に終わってしまいました。これは歩夢やチームがどうにかできるものではないので、仕方がなかったと思います。その中でもスプリントレース(決勝レース1)は、非常に巧みなタイヤマネジメントとオーバーテイクで追い上げを見せ、最終ラップの最終シケインでもかなりいいチャレンジを見せるなど、歩夢の成長を強く感じさせるレースでしたね。

 何よりも歩夢の表情がこれまでとは大きく変化しており、集中し、まさに『戦う男の顔』でしたね。歩夢のことは鈴鹿サーキットレーシングスクール(現:ホンダレーシングスクール鈴鹿)時代から見ていますが、あの頃よりも非常に頼もしく感じたほどです。

 フィーチャーレース(決勝レース2)はオープニングラップのターン6でデニス・ハウガー(MPモータースポーツ)と接触し、サスペンションにダメージを負ったことで今季2回目のリタイアとなりました。あれに関しては歩夢のミスだと思います。レース後に歩夢とも話をしましたが、自分自身にもできることがあったということは歩夢も理解しています。ほんの少し、あと少し、歩夢にとって足りない部分が、ああいった状況での判断力だったりすると思います。

 今後に向けては、あの接触のシーンをレビューして、アクシデントを避けるために自分に何ができたのかをもう一度考え、次に繋げていくしかないですけど、それは歩夢もすでにわかっていることです。私は、歩夢の強みは自分自身のミスや状況、立ち位置を見極めて、自分自身を変化させていくためにしっかりと努力ができる点だと思います。

2023年FIA F2第11戦スパ・フランコルシャン 岩佐歩夢(ダムス/レッドブル&ホンダ育成)
2023年FIA F2第11戦スパ・フランコルシャン 岩佐歩夢(ダムス/レッドブル&ホンダ育成)

 スパではダムスのシャルル・ピックをはじめ、何人ものFIA F2チームオーナーたちとも会話をしましたが、歩夢の評価は彼らから見ても高かったです。それゆえに、歩夢の動向を気にしているチームはFIA F2の中でも少なくはありません。

 その要因は歩夢がランキング3位(第11戦終了時点)につけている結果、そして速さだけではなく、歩夢が『強いダムス』というチームを作り上げつつある、という人間力も含めたドライバーとしての力を、FIA F2のパドック全体が評価しているからです。それはダムスのガレージ内で歩夢とダムスのスタッフが言葉をかわし仕事を進める様子からも感じ取れましたし、またダムスというチームが歩夢を信頼しているということも感じ取れました。

 FIA F2は残り3大会6レース、歩夢は自分のやるべきことをわかっていますし、徹底的にやれることをすべてやり続けるしかない、そして運や流れもすべて自分に引き込むしかないでしょう。ただ、そんな歩夢の活躍を日本のレースファンの皆さんが応援してくださり、それが歩夢の力になればいいなと思います。

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