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モタスポブログ

2016.01.18

雪やこんこ、大はしゃぎで駆け回る18歳/ドイツ特派員レポート


モタスポブログ | 雪やこんこ、大はしゃぎで駆け回る18歳/ドイツ特派員レポート

各国の特派員による現地レポート、2016年の幕開けはレッドブル主催の“クレイジー”な雪上デモランの模様をドイツからお届けします。

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シーズンオフで、まだまだ静寂に包まれているF1の世界。ドライバーたちはメディカルチェックやトレーニング、ときどきスポンサーイベントに参加する日々です。新年早々レッドブルは、オーストリアのアルプス・ハーネンカムで面白いイベントを開催しました。

1月14日にドイツとオーストリアの国境近くに位置するスキー場、キッツビューエルでマックス・フェルスタッペンによるF1マシンのショーランを敢行した のです。当初は前日に予定されていたのですが、11日から12日にかけて新雪がたくさん降ったためにコースの整備が間に合わず、14日に延期されるという ドタバタも。雪上走行とはいえ、あまりにも大雪だと中止になってしまうわけですね……。

Photo: Robert Seiwert

使用された特設コースは標高1600m以上。ふだんはスラロームやスーパーGなどスキーの公式競技が開催されているゲレンデです。レッドブルの本拠地は オーストリア、たくさんの冬季スポーツに協賛している関係もあり、今年のオーストリアGPの宣伝も兼ねた、大胆な企画です。

さてF1マシンを、どうやって上まで持って行くのか? 山の中腹まではヘリコプターに吊るして、途中からはリフトに吊るして……吹雪でマシンがグラグラと動いたら、ヒヤヒヤもの。

さらに疑問は続きます。F1マシンが冬のアルプスを走行するためには、どんなタイヤを使用するのでしょうか? レースタイヤにチェーンを巻くのか特製スタッドレスなのか……など、あれこれ考えていたら、見たことのないF1用スパイクタイヤが登場。

そして本番では、なんとレインタイヤにチェーンを巻いて走行!! 普通のクルマの場合、雪道ではスタッドレスを履いていてもホイールスピンをしてしまうもの。果たして、F1マシンがアップダウンの激しい雪上コースで、どう立ち回るのか興味津々です。

Photo: Robert Seiwert

走行シーンを含む、 イベントの動画は、こちらから

18歳のマックスは昨年の夏に運転免許を取ったばかり。まだ雪道は運転したことがなく、F1マシンでの走行が生まれて初めての雪上ドライブに……初めてづくしの経験でしたが「めちゃくちゃエンジョイした!」と大はしゃぎでしたよ。

ご近所に住む元F1ドライバー、ゲルハルト・ベルガーとヘルムート・マルコ博士も来場して、マックスと並んでのトークショー。

マルコ博士は「F1マシンで雪山を走るのは快適とは言えませんが、機能的には問題ありません」と、まずは真顔で解説。「しかし、こんなことをしようとは誰 も思いつきませんでしたよね。私自身、子供のころにF1マシンが雪道を走ったら……と空想したことはありましたけど」とレッドブルのクレイジーな発想にあ きれつつも、楽しくてしょうがないといった笑顔に。ベルガーも「たくさんのファンが、こんなとてつもない経験を通して、モータースポーツの持つ力を肌で感 じてくれたはず!」と、ご満悦。おそらく自分も走りたかったのでは、ないでしょうか。

Photo: Motorsport-Magazin.com

残念ながら、この日は「マックス専用」。それにしても、レッドブルの斬新なプロモーションには脱帽! このイベントを見るために、3500人ものファンが リフトで標高1600mまで登ってきたわけです。すばらしい眺めと前代未聞の雪上ドライブ、一見の価値は十分ありました。雪山で冷たいレッドブルは、 ちょっと寒そうですが……。

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池ノ内みどり(Midori Ikenouchi)
ドイツ・ミュンヘン在住。ヨーロッパでの生活は現在19年目。ドイツのレーシングチームで研修を受けたあと、ニュルブルクリンク24時間プロジェクトチームのコーディネーターなどを経て、モータースポーツ関連ライターとコーディネート業を行う。


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