決勝260周後のワイルドな結末を予感させる前兆か。スタートわずか2周で16台のマシンが絡む波乱の幕開けとなった2024年NASCARカップシリーズ第2戦『アンベター・ヘルス400』は、自身もそのクラッシュでダメージを負いながら、混沌の渦中から抜け出したダニエル・スアレス(トラックハウス・レーシングチーム/シボレー・カマロ)が横ならびの”フォトフィニッシュ”でチェッカー。
ホワイトフラッグ残りふたつのコーナーで、カイル・ブッシュ(リチャード・チルドレス・レーシング/シボレー・カマロ)、そして新王者ライアン・ブレイニー(チーム・ペンスキー/フォード・マスタング)との“3ワイド”を演じた勝負は、実にバンパーの厚み数センチ分で決着。スアレスがチャンピオンのブレイニーに対し0.003秒、ブッシュには0.007秒とハイラインから超僅差で抜け出し、2022年6月のソノマ以来となるカップ通算2勝目を手にしている。
ウイリアム・バイロン(ヘンドリック・モータースポーツ/シボレー・カマロ)が勝利を挙げた開幕戦『デイトナ500』に続き、2月23〜25日にアトランタ・モータースピードウェイで迎えた第2戦は、新型モデルのフォード・マスタング“ダークホース”がふたたび予選で躍動。前戦ポールウイナーのジョーイ・ロガーノ(チーム・ペンスキー/フォード・マスタング)とポジションを入れ替えたマイケル・マクドウェル(フロントロウ・モータースポーツ/フォード・マスタング)が、カップ通算467戦目にして初のポールポジションを奪い、土曜時点でふたりが2戦連続のフロントロウを決めてみせる。
しかし決勝オープニングラップを終えたコントロールライン付近で、予選2列目発進だったトッド・ギリランド(フロントロウ・モータースポーツ/フォード・マスタング)が姿勢を乱すと、後続の16台は1.54マイルのハイバンクで成す術なく飲み込まれる事態に。
ここでアレックス・ボウマン(ヘンドリック・モータースポーツ/シボレー・カマロ)を筆頭に、タイラー・レディック(23XIレーシング/トヨタ・カムリXSE)やクリストファー・ベル(ジョー・ギブス・レーシング/トヨタ・カムリXSE)ら、トヨタ陣営の優勝候補も大きな損傷を受けてしまう。
さらにオースティン・ディロン(リチャード・チルドレス・レーシング/シボレー・カマロ)やハリソン・バートン(ウッド・ブラザーズ・レーシング/フォード・マスタング)らと同様、予選23番手発進だったスアレスもダメージを被り、車両修復に取り組むため何度もピットストップを強いられる。