トヨタ・カローラとシボレー・クルーズによる争いも今季が最後となるSCBストックカー・ブラジル“プロシリーズ”の開幕戦が、3月2~3日にゴイアニアことアウトドローモ・インテルナシオナル・デ・アイルトン・セナで開催され、その大会名も直前に逝去した英雄の名を冠し『GP Wilson Fittipaldi Júnior(ウィルソン・フィッティパルディ・ジュニオールGP)』として幕を開けた。
その初陣で予選から輝きを放ったのが20歳の新鋭で、今季よりKTFレーシングからトヨタ陣営に移籍して実質トニー・カナーンの後任を務めるフェリペ・バプティスタ(クラウン・レーシング/トヨタ・カローラ)が、新フォーマットの決勝も制してポール・トゥ・ウインを達成。自身SCB通算2勝目を手にしている。
すでに来季2025年には車両のベースを「SUVとする」アナウンスをしたSCBだが、この2024年に向け各チームともドライバー移籍で新体制が敷かれるなか、引き続きTOYOTA GAZ00 Racingブラジルのエースとして陣営を牽引する2022年王者ルーベンス・バリチェロ(モービルエール・フルタイム/トヨタ・カローラ)や、同リカルド・ゾンタ(RCMモータースポーツ/トヨタ・カローラ)らを筆頭に、昨季初優勝を飾って今季は新天地を求めた42歳のフェリペ・マッサ(TMGレーシング/シボレー・クルーズ)らF1経験者が数多くひしめく、実力派ぞろいのグリッドとなった。
また現行規定ストックカー最後のシーズンに向け、主催団体であるVicar(バイカー)はスポーティング規則にもアレンジを加え、昨年までは30分+1周の2レースで構成されていたステージは、土曜日に30分間のスプリントレースと、日曜日に50分間のメインレースで構成するフォーマットへと刷新。
さらに約100PSのエクストラパワーが21秒持続する設定だったプッシュ・トゥ・パスは、時間を8秒に短縮したうえで作動回数を2レース合計12回から44回へと激増させ、ルーキーの3名にはさらに4回を追加。加えてSNSを通じたファンの一般投票で選ばれる“ファン・プッシュ”も継続し、こちらも選抜者に4回のエクストラが許可されるなど、大幅に伸びたレース時間と併せてオーバーテイクの増加を狙う演出が加えられた。
迎えた初日から酷暑に見舞われたゴイアニアは、午前のフリー走行でフェリペ・バプティスタが。午後は26歳のガエターノ・ディ・マウロ(カバレイロ・スポーツ/シボレー・クルーズ)がトップに立つなど、若きドライバーたちが主導権を握っていく。そのまま予選でもパフォーマンスを維持したバプティスタは、雨が落ちる直前のQ3でもトップタイムを叩き出し、大ベテランのマッサをフロントロウに従え自身2度目の最前列を確保した。
「ストックカーでポールポジションを獲得することは最も難しいことのひとつだ。それがうまくいったときは、たくさん祝う必要があるね(笑)」と喜ぶ20歳のバプティスタ。
「新しいチーム全体、すべての仕事にとても満足している。今はメインレースの戦略を考えて、スプリントのどこで順位を上げるかを考えつつ、明日のことを見据えなければならないね」