21周目まで引っ張ってピットインすると、松下はショーン・ゲラエルの後方10位まで下がってしまった。ここで新品ソフトの威力でファステストラップを記録し2ポイントを稼ぎはしたが、ソフトはあっという間にデグラデーションが進んで松下は10位でフィニッシュするのがやっとだった。
レース後、松下は夜9時まで居残ってエンジニアとともにコンピュータの画面と向き合いデータ分析を行なった。それによってマシン挙動の改善は見られたものの、遅きに失した感は否めなかった。
またしてもゲラエルの後ろで押さえ込まれ、抜くことができないまま8位でレースを終えた。
「僕の方が全然速かったんですけど、それでも抜けなかった。マゴッツ~ベケッツ~チャペルの最後で僕のクルマはすごくバタついて、そこで離されちゃうんです。だから(ハンガーストレートで)抜けない」
「そこから(コーナーで)追い付いていくんだけど(ハンガーストレート入口で)また離されてもうちょっとっていうのが続いていました。相手のミスを待つしかなかったけど、彼もミスをしなかった」
バクー以来、3ラウンド連続で低迷が続いている。昨年GP3でタイトルを争う速さを見せたチームメイトのアレックス・アルボンも含めてチーム全体が低迷している。
シルバーストンを苦手としているというだけでなく、マシンを仕上げる能力という意味でのチーム力がライバルたちに追い越されつつあるのが今のARTだ。
「このままじゃ予選は良いところに行けてもレースで勝てないですから……今年はF1のタイヤが変わってラバーの乗り方も変わっているんで、今まで通りやっていたらダメだっていうことは分ってきています」
「シーズン前半戦の後半は、周りが良くなってきているのか、僕らの相対的な位置はかなり下がってきていますから、次に向けて、エンジニアと一緒になんとかしないといけません」