7月28~29日にイギリス・スネッタートンで開催されたBTCCイギリス・ツーリングカー選手権の第6戦は、シリーズ創設60周年を記念した特別なイベントとして長距離戦を含む3レースが行われ、FK8型ホンダ・シビック・タイプRに乗る大ベテラン、マット・ニールがその記念すべき最終レース“ダイヤモンド・ダブル”戦を制した。
サマーブレイク明けの一戦として開催されたスネッタートンは、レギュラーのスプリントレース3ヒートからわずかにフォーマットが変更され、最終レースをBTCCとしては異例の長距離となる60マイル(約97km)の“ダイヤモンド・ダブル”として設定。獲得ポイントも2倍となるなど、シリーズ創設60周年を祝う特別な1戦として争われた。
コースレイアウト面でも、スネッタートンは高低差を持つバラエティに富んだコーナーが数多く存在し、シリーズでも随一の攻めがいあるサーキットとして知られる。そのコースで練習走行から速さを見せたのは、新旧シビック・タイプRのホンダ勢だった。
最終プラクティスでは、事前テストでも好調ぶりを見せていたユーロテック・レーシングのジャック・ゴフを先頭にシビック勢がトップ3を独占すると、そのままレース1となる通常のスプリント戦に向けた予選でポールポジションを獲得。
2番手フロントロウにチーム・ダイナミクスのルーキー、ダン・カミッシュ(FK8型ホンダ・シビック・タイプR)が続き、3番手にユーロテックのFK2型に乗るマット・シンプソン、4番手にチームメイトのブレット・スミスが並び、FK2、FK8のシビックRがセカンドロウまでを独占する速さを披露した。
迎えたレース1は、スタート前に降り出した雨で路面はヘビーウエットとなり、全車レインタイヤを装着してのレースに。フロントロウ2台はポジションを守って1コーナーへと向かったものの、この局面でFRのトラクション性能を活かしたチームBMRの王者、予選9番手のアシュリー・サットン(スバル・レヴォーグGT)が3番手にジャンプアップ。
序盤にカミッシュをかわして2番手に浮上したサットンは、最終ラップで首位ゴフのFK2シビックのテールに張り付くと、レインタイヤのデグラデーションが進みスライドの大きくなったシビックの隙を突き、ファイナルラップで首位浮上に成功。
しかしここから驚異の粘りを見せたゴフが最終コーナーの立ち上がりで絶妙なトラクションを掛け、ホームストレートの加速勝負でわずか0.152秒差でスバル・レヴォーグGTをかわしフィニッシュラインへ。薄氷の逆転劇でシビックのゴフが勝利を飾った。
続いて路面がドライ方向に好転するなか開催されたレース2は、レース1のトップ10がそのままグリッドに反映されてのスタートとなるなか、勝者ゴフのシビックがまさかのトラブルを抱えピットスタートに。これで楽になった実質ポールの王者サットンが危なげなく勝利し、タイトル防衛を目指すスバル・レヴォーグGTが今季3勝目を挙げている。