ブラジル出身の元F1ドライバーが多数参戦する同国最大のツーリングカー選手権、SCBストックカー・ブラジルの第8戦カスカバルが9月8~9日に開催され、今季からフル参戦するHEROモータースポーツのルーカス・ディ・グラッシが2018年シーズン3勝目を飾った。
ブラジル南部パラナ州に位置し、世界三大瀑布のイグアスの滝にもほど近いトラックを舞台に開催された第8戦は、予選セッションから“ルーキー”のディ・グラッシが速さを見せ、強豪シムド・レーシング勢と真っ向勝負の構図に。
参戦全30台が1.4秒差にひしめく激戦のタイムアタックを制したのは、シムド・シボレーのフェリペ・フラーガで、わずか0.06秒差のフロントロウにディ・グラッシ、セカンドロウにもシムドの2015年王者マルコス・ゴメスが並び、この強豪チームがABBフォーミュラE選手権シーズン4チャンピオン包囲網を形成。
そして隣国アルゼンチンからスポット参戦中のツーリングカー使い、ネストール・ジロラミ(バーダル・ホットカー)は28番手、初参戦エステバン・グエリエリ(HEROモータースポーツ)は29番手と、世界的な活躍を演じるドライバーでさえ一筋縄ではいかない、SCBシリーズのハイレベルさを証明する予選となった。
迎えた39周のレース1は、スタート直後に中団で激しいクラッシュが発生したものの、先頭集団は落ち着いた立ち上がりをみせ、ディ・グラッシはポールシッター、フラーガの背後をぴったりマークして追走。
勝負の分かれ目となったのは最初のピットストップウインドウが開いてからで、先頭のフラーガがピットロードへと向かったのを見て、ライバルに合わせたタイミングで勝負に出たHEROモータースポーツは、先にボックスに停車して4輪交換のフルサービスを開始したシムドのマシンに対し、右側2輪交換という“奇襲”で応戦。
これでディ・グラッシの11号車は、88号車フラーガのイエローのマシンをかすめるようにファストレーンに戻り、チームの戦略勝ちで首位浮上に成功。視界がクリアになったディ・グラッシは、残る周回でぐんぐんとギャップを広げていき、チェッカー時点で後続に11秒の差を築く完勝。初参戦シーズンで見事な3勝目を飾ってみせた。