その最大の要因が4ドアサルーン想定で設定されたメインロールフープの最大高であり、このシャシーに寸法を合わせ込んだフォード・マスタング・スーパーカーは、ロードゴーイングモデルよりも明らかに高いルーフラインを持つに至った。
これに対し、VASCのシーマーCEOは“Next-Gen”とされる規則改定の可能性に「自動車市場との永続的な関係性を維持するために、また異なるマシン、マニュファクチャラーの参戦機会を担保するためにも、規則を早期に見直す可能性はある」と語った。
「我々、VASCの技術部門は現在20を超えるCADデータを有していて、それらのファイルすべてを現行規定シャシーに落とし込み、最大公約数的にあらゆるモデルに対応するにはどのような変更を加えるべきか、検討を進めているところだ」とシーマーCEO。
「そこで得られた知見やデータを、トリプルエイトやHSV、DJRやティックフォードなどのOEMマニュファクチャラーにフィードバックし、彼らの意見に耳を傾け情報共有する必要がある。ただし“ロールフープの高さを変更する必要があるか”だけを議論するのは時期尚早だと思っている」
開幕戦アデレードの現地で応えたシーマーCEOの発言に対し、今季フォード・マスタングのシリーズ投入に尽力したフォードのグローバル・レーシング・ディレクターであるマーク・ラッシュブルックと、DJRチーム・ペンスキー代表のライアン・ストーリーも「新型モデル投入直後ではあるものの、彼の意向を全面的に支持する」と語った。
「当然、このマスタングの開発に際して現行規定を慎重に読み込んで対処したよ。マシンサーフェスに変更を加えるとどれほどの影響が出るかも良く理解しているし、その効果は決して小さくない。とくにルーフ高のような空力性能に直接関係するパネルはね」と説明したラッシュブルック。
「しかし今季に向けた我々の労力を考慮してもなお、ショーン(シーマー)のやろうとしていることは正しいアプローチだと思う。シリーズの将来にとって何がベストか、異なるメーカー間で共通理解を持っておくことは必要だと感じている」
一方のストーリー代表も「この経過はCOTF導入時にすごく似ていると思う」と、ラッシュブルックの言葉に付け加えた。
「技術規定の変更に伴う開発作業は多岐にわたり、その作業量は大きな負担になる。かつての我々は、あらゆる分野を詳細に議論し、全チームが承認した上でシリーズの方向性を決定してきた。正しいやり方でそれ(シャシー規定の変更)をすることに、私たちは寛容だと思う」