VASCヴァージン・オーストラリア・スーパーカーの第12戦となるだけでなく、世界的な名声も博しているシリーズ最大の祭典『バサースト1000』が10月10~13日の週末に開催され、リザルト上は今季を席巻してきたDJRチーム・ペンスキーのフォード・マスタングと、王者スコット・マクローリン/アレクサンダー・プレマ組が勝利。しかし終盤のポジション争いに際し、規定で禁止されている「チームオーダーを発動した」との疑惑が持ち上がり、最終結果は暫定のままという異例の事態となっている。
シーズン終盤戦のレース距離800マイル(約500km)越えのイベントに課される“エンデューロ・カップ”の開幕戦となり、セカンド登録ドライバーとともにドライバー交代を伴う耐久色の濃い1戦は、ライバル勢から勝者に対して「シリーズの信用に傷をつけた」との厳しい声が上がる、後味の悪い結末となった。
2019年を象徴するように、今季デビューのフォード・マスタングがここマウントパノラマでも速さを見せつけ、木曜のプラクティスからコースレコードを更新。その中心にいたのが、ポイントスタンディングを独走する17号車マクローリンとDJRチーム・ペンスキーだった。
その勢いは土曜の予選でも遺憾なく発揮され、マクローリンが自身2度目となるバサーストでのポールポジションを獲得。フロントロウ2番手にも同じくティックフォード陣営のチャズ・モスタートが並び、その背後にキャメロン・ウォーターズも続いてマスタングがトップ3を独占した。
一方、プラクティスでクラッシュを喫していた”セブンタイムス・チャンピオン”ことジェイミー・ウインカップ(ホールデン・コモドアZB)がファクトリーチームの意地を見せ4番手。そのチームメイトであるSVGこと2016年王者のシェーン-ヴァン・ギズバーゲンが5番手に続き、レッドブル・レーシング・オーストラリア勢がフォード追撃の包囲網を整える、いつもの展開となった。
迎えた日曜正午前のスタート以降は、このバサースト1000が今季初レースとなるセカンドドライバーの力量や各陣営のピット戦略、燃料給油タイミングやタイヤ交換に伴うレースペースのマネジメントで、めまぐるしくポジションが入れ替わるも、首位を行くのは常にマスタング。
チャズ・モスタート/ジェームス・モファット組や、DJRの12号車ファビアン・クルサード/トニー・ダルベルト組らマスタング勢が首位をキープし、さらにトップ10圏内ではイベント直前にドラッグ低減の性能調整を受けたケリー・レーシングのニッサン・アルティマ勢も混じってのタイムバトルが展開されていく。