レースは予選、決勝が1日で行われる。午前8時30分から予選が開始される頃には、暗い雲がノルドシュライフェに立ち込めて、少しずつアスファルトを濡らしはじめた。気温は20℃を下回る。
しかし次第に雨は上がり、コースが乾くのを見計らって一気にタイムアタックが始まった。1時間半の予選セッションを終え、今季初レースのポールポジションを獲得したのは、7分59秒191と驚異のタイムを叩き出したパトリック・アッセンハイマーとマロ・エンゲルの駆るHRTアウトーアレーナの6号車メルセデスAMG GT3だ。
決勝レースは4時間で争われる。12時のスタートを目前に色鮮やかなマシンがグリッドに並んだ矢先、再びグランプリコースの上空を黒い雲が覆い始め、フォーメーションラップを走る頃には、大粒の雨がノルドシュライフェを濡らしはじめた。
しかし、雨雲レーダーでは通り雨の模様で、レインタイヤを装着しているマシンは皆無。その予想通り2ラップ目に入る頃には雨も止み、青空も姿を見せはじめて気温が上昇するに連れて、トップ争いも激化する。
レース序盤から継続して、安定したペースとミスのないヴァルケンホルストの34号車BMW M6、ポールポジションを獲得したHRTアウトーアレーナの6号車メルセデスAMG GT3、フェニックスの15号車アウディR8 LMS、さらにゲットスピードの2号車メルセデスAMG GT3が僅差のデットヒートを繰り広げ、手に汗握る展開で目が離せない。
レースの終盤戦、ラスト2周の時点では34号車BMWが僅か0.198秒差で6号車メルセデスをリードしていたが、ピットインのタイミングで6号車メルセデスが逆転。
そのまま6号車メルセデスが逃げ切るかと思いきや、規定ピット停止時間よりも早くピットアウトをしてしまったため37秒のペナルティが加算された。その結果、27ラップを走破したデービッド・ピッタード/ミッケル・ジェンセン組の34号車BMWが、開幕緒戦を勝利で飾ることとなった。
■GRスープラGT4は初レースをクラス5位で締めくくる
GRスープラGT4が参戦したSP10クラスは近年、ジェントルマンドライバーに人気急上昇のGT4マシンが多く参戦するクラスとあり、こちらも強豪ぞろい。
BMW M4、ポルシェ ケイマン718、アストンマーティン ヴァンテージAMR、KTM X -Bowらが鎬を削る中、GRスープラGT4は予選37位(SP10クラス 8位)、決勝33位(同5位)でデビュー戦を終えた。
真新しいマシンと新開発のタイヤ。未知の要素が多い開幕戦において、無事に完走を果たせたのは大きな収穫といえるだろう。しかし、喜んでいる暇はない。NOVEL RacingとTOYO TIRESのターゲットは、9月24日~27日に開催されるニュルブルクリンク24時間レースだ。そこにむけて、プロジェクトチームは一丸となって開発を進めていかなければならない。
2週間後には、早くもNLSニュルブルクリンク耐久シリーズの第2戦が控えている。彼らの挑戦は歩みはじめたばかりなのだ。