5月14~15日の週末にブランズハッチ、インディ・サーキットで争われた新時代のBTCCイギリス・ツーリングカー選手権第2戦は、今季より“ブラック&グラファイト”のカラースキームをまとうジョシュ・クック(リッチ・エナジーBTCレーシング/FK8型ホンダ・シビック・タイプR)が、雨混じりのトラックで快心の連勝劇。予選でキャリア通算25回目のポールポジションを獲得していた4冠王者コリン・ターキントン(チームBMW/BMW 330e M-Sport)も、最終ヒートで共通ハイブリッド搭載車での初勝利を飾っている。
複数年計画で準備を進めて来たコスワース・エレクトロニクス社製のTOCAハイブリッド・システムを組み込み、ついに新時代の幕開けを迎えたBTCCは、全車横並び条件でエクストラパワーを採用した開幕戦を経て、実質的な“勢力図争い”の1戦を迎える。
前戦の成績に応じて、このラウンドからハイブリッド導入に伴う新規則が適用され、昨季までのサクセスバラストに代わりランキング1位はラップあたり0秒、11番手以降は同15秒のエレクトリック・パワーの使用許可が出るなど、予選から未知の世界での勝負となった。
さらに開幕戦のバランスを再検討したシリーズオーガナイザーのTOCAは、当初予定されていた15秒/ラップではなく、短いインディ・サーキットでの3ヒートを考慮し、週末を前に決勝でのハイブリッド使用秒数を1周あたり10秒に短縮する判断も下した。
その最初のセッションとなるFP1では、開幕戦レース1を制覇してランク首位に立ったトム・イングラム(ブリストル・ストリート・モータース・ウィズ・エクセラー8トレードプライスカーズ・ドットコム/ヒョンデi30ファストバック Nパフォーマンス)がトップタイムをマーク。イングラムは予選ではハイブリッド使用不可、決勝では24周中9周のみとなるため「これまでの最大バラストを運ぶほどの影響はないと思うが、単純な事実に関して物事がどのように展開されるかわからない。少し冒険になるだろうね」と、その先を見据える言葉を残した。
そのポイントリーダーの予言どおり、伏兵ステファン・ジェリー(チームBMW/BMW 330e M-Sport)が最速を記録したFP2を経て始まった予選では、そのBMW陣営がスピードを披露し、古豪WSRの3台が最前列からのグリッドを占拠。順当にポール確保のターキントンに続き、今季よりジョイントチームで参戦するジェイク・ヒル(MBモータースポーツ・パワード・バイ・ロキット/BMW 330e M-Sport)がフロントロウを奪取し、2列目3番手にジェリーが続く結果となった。
「鋭い結果でセッションを終われるのは良いことだ。終始マシンバランスの改善に取り組み、クルマはとても快調に走ってくれた。スムースさを心掛け、オーバードライブしないように気をつけたし、アタックラップにはとても満足している」と振り返ったターキントン。