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海外レース他 ニュース

投稿日: 2017.01.10 14:11
更新日: 2017.01.10 14:17

レースの素人が見せた、時速421キロへのホンダ・スピリッツ:ボンネビル挑戦記前編

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海外レース他 | レースの素人が見せた、時速421キロへのホンダ・スピリッツ:ボンネビル挑戦記前編

 ホンダがS660の軽自動車用のエンジンで自社の四輪最高速を更新することとなった、アメリカのユタ州で開催されたFIA公認イベントのMike Cook’s Bonneville Shootout。

 わずか1年足らずの期間に、未知の領域に挑んだ、山あり、谷あり、涙ありの本プロジェクト。16人のスタッフを率いた本田技術研究所、蔦佳佑エンジニアに話を聞いた。

☆  ☆  ☆  ☆

 このボンネビルのプロジェクトは、S660のプロジェクトに続く社内公募のプロジェクトだった。若手の人材育成を目的として、社内の一般公募としてスタッフの募集が始まった。

 「公募でスタッフを募集したこのプロジェクトには、ふたつだけ決定していた項目がありました。ひとつはボンネビル(スピードチャレンジ)の速度記録の大会に出ること。もうひとつは軽自動車のエンジンで出ることでした」と話す蔦エンジニア。

 結果的に、このまったく未知のチャレンジに、ホンダ内で約100人の応募があった。研究所の社員がこのプロジェクトに応募するには、まずは上司の許可が必要。約100人のスタッフは自ら上司に掛け合い、立候補の許可を得なければならなかった。

 最終的には16人のスタッフが選ばれたが、事務局として選考に関わった本田技術研究所の広報を勤める冨澤潤(現在、モータースポーツ部)は「こんな風変わりなチャレンジに、自ら上司を説得して100名もの応募があったことに驚いてうれしかったのですが、その意思の強さがあった反面、スタッフの選考を始めてからは選ばれなかった方からの問い合わせも多くて、本当に心苦しい思いをしました」と、当時を振り返る。

8月のテストイベントに続き、9月のFIA公認イベントでホンダ四輪最高速をマークしたS-Dreamメンバー
8月のテストイベントに続き、9月のFIA公認イベントでホンダ四輪最高速をマークしたS-Dreamメンバー

 趣味としてレースに関わっていた蔦エンジニアも上司を説得し、「本当に入社試験のように履歴書を書いて、書類審査を受けて、役員面談を受けました。私の部署で受かったのは自分だけでした」と、プロジェクトへの参加が予想以上に難しくて驚いた経緯を振り返る。

 公募には量産業務との兼任と、このプロジェクトだけに取り組む専任のふたつを事前に希望しなければならない。蔦エンジニアは当初は兼任の形でエントリーしていたが、選ばれた後は専任という形でこのS-Dreamプロジェクトの開発責任者を務めることになった。


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