日産自動車は8月23日、ニッサンe.ダムスとして2022／2023年ABB FIAフォーミュラE世界選手権“シーズン9”に参戦するドライバーラインアップを発表した。新たにノルマン・ナトと、日本の全日本スーパーフォーミュラ選手権やスーパーGTで活躍するサッシャ・フェネストラズを起用する。
唯一の日本自動車メーカーとして電動フォーミュラカーレースのフォーミュラEに参戦するニッサン。昨季シーズン8では苦戦を強いられ、エースのセバスチャン・ブエミがドライバーランキング15位、新加入のマキシミリアン・ギュンターが同19位、チームランキングは9位でGen2最終年を終えている。
迎える来季のシーズン9では新規低車両となるGen3が投入され、ニッサンe.ダムスの巻き返しも期待されるなか、ニッサンは早くも来季のドライバーラインアップを発表。ナトとフェネストラズという一新された体制でタイトル獲得を目指す。
フランス出身のナトは、ジュニア時代にはフォーミュラ・ルノー3.5、GP2、FIA F2で優勝し、2020年のル・マン24時間レースでは総合2位を獲得するなど経歴を誇る30歳のドライバーだ。2022年はWEC世界耐久選手権に参戦していたが、過去にはフォーミュラEでの優勝経験もあり、新たなニッサンe.ダムスのエースドライバーとして期待がかかる。
そして同じくフランス出身のフェネストラズは、2019年に全日本F3選手権のタイトルを獲得しており、近年は日本国内でスーパーフォーミュラとスーパーGT GT500クラスに参戦し、両シリーズで勝利を収めたほか、フォーミュラEではシーズン8の最終戦で代役として同選手権に初参戦を果たしている。
ニッサンe.ダムス新加入のナトは「ニッサンドライバーとしてフォーミュラEにフル参戦できることを大変うれしく思っている。Gen3マシンとともに始まる新たな章に向けて、テストの準備を行い、マシンを走らせることを楽しみにしている。チームとともに学ぶべきこと、開発すべきことがたくさんあるし、シーズン9の初戦となるメキシコ大会をベストの状態で戦えるよう準備していく」とコメント。
そして初のフォーミュラEフル参戦を果たすフェネストラズは「夢のような話だよ。初めて世界選手権に進出し、世界のトップドライバーたちと高いレベルで戦えることは、僕のキャリアにとって大きな一歩になるだろうね」と喜びを語った。
「また、僕にとってEV（電気自動車）で戦う初めてのレースとなるから、これまでとは違ったチャレンジになると思う。ストリートサーキットは大好きだけど、リスクが高く、ミスが許されない」
「ルーキーとして、やるべきことも学ぶべきこともたくさんある。このような機会を与えてくれたニッサンにとても感謝している。レースが待ちきれないね。最高のパフォーマンスが発揮できるように全力を尽くすよ」
このふたりの加入に、ニッサンフォーミュラEのゼネラルマネージャーであり、ニッサンe.ダムスのマネージングダイレクターであるトマソ・ヴォルペは、「Gen3マシン時代の幕開けにあたり、ノルマンとサッシャをドライバーとして迎え、とても嬉しく思っている」と語っている。
「今のチームにとって、豊かな経験と新たな才能の組み合わせは、最適なバランスであると信じている。ノルマンは豊富な経験とスキルを持ち、フォーミュラEやほかのシリーズでその高い才能を証明してきた。また、サッシャは過去数年にわたって高いパフォーマンスを発揮しており、大きなポテンシャルを持つ彼をチームに迎え入れるのは、今が最適なタイミングだと思っている」
「両ドライバーはお互いを補完しあい、チームにとっても非常大きな戦力になると確信している。新しいニッサンのGen3マシンをドライブし、サーキットで活躍するのを見るのが待ち遠しい」
またヴォルペは、8シーズンに渡りチームに在籍し、エースとして活躍したブエミに対しても感謝の言葉を述べた。
「同時に、ブエミとギュンターに対しては、その努力と献身に感謝の意を表したいと思う。特にブエミは、e.ダムスに8シーズン在籍し、そのうち4シーズンはニッサンチームに所属していた。彼の偉大な成績、忍耐力、熱意は、今後も私たちの一部であり続けるだろう。ギュンターとブエミがチームの一員であったことは、私たちにとって大きな誇りだ。今後の彼らの成功を祈る」
