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投稿日: 2009.08.05 00:00
更新日: 2018.02.15 14:29

【PETRONAS SYNTIUM TEAM】スーパー耐久シリーズ2009第5戦「SUPER TEC」


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PETRONAS SYNTIUM TEAM REPORT

スーパー耐久シリーズ2009
第5戦「SUPER TEC」
2009年8月1-2日

▲▽▲8月1日 予選 天候:晴れ 気温26℃(午後12時30分)

 8月最初の週末、静岡・富士スピードウェイで2009スーパー耐久シリーズ第5戦が開幕。第4戦・十勝24時間が残念ながら休止となり、およそ2ヶ月ぶりのシリーズ戦となる。しかも今回は、通常の距離制ではなく時間制。4時間での戦いだ。加えて、ST-1クラスは複数のフェアレディZやポルシェ勢がスポット参戦。日ごろSUPER GTなどに参戦する選手も姿を見せ、全8台による混戦に期待が集まった。

 非公式の専有走行が行われた金曜日は終日曇天模様。午後のセッションでは霧雨が降るなど、決して恵まれた天候とは言い難い天候ではあったが、チームでは久々となる実走行でのデータ収集やクルマのチェックなど、順調に作業を進めた。土曜日は早朝に軽く霧雨が降ったり止んだりした影響を受け、サーキット周辺には霧が広がっていたが、予選前に行われたピットウォークを境にして徐々に天候も回復。雨の心配もなくなり、薄曇ではあるものの、視界は格段良好になった。

 まずは正午過ぎに1、2クラスのAドライバーによる予選アタックがスタート。与えられた15分を有効に使うべく、No.1PETRONAS SYNTIUM BMW Z4M COUPEに谷口信輝、そしてNo.28 PETRONAS SYNTIUM BMW Z4M COUPEには片岡龍也が乗り込んだ。先に好タイムを刻み始めたのは、No.1 谷口。計測2周目にしてトップタイムとなる1分46秒567をマーク、その翌周にはクルマをピットに戻す安定ぶり。一方のNo.28 片岡。こちらは谷口がピットに戻ったのを確認するかのようなタイミングで、立て続けに自己ベストを更新。1分46秒847のタイムを刻み、2番手につけた。

 それからおよそ30分後。Bドライバーによるアタックが始まる。先のアタックとは異なり、今度は28号車が先にコースイン、アタック担当の吉田広樹が計測3周目に1分47秒064のタイムで暫定トップにつけた。一方の1号車。アタッカーは柳田だ。だがまだピットから微動だにしない。残り時間8分を切り、ようやくピットを後にした柳田は満を持してアタックに挑んだが、タイムが思うように伸びない。引き続き、限られた時間をフルに使って再度アタックを試みたが、惜しくもタイム更新ならず。1分47秒366は28号車に次いで2番手となった。

 結果、A、B両ドライバーの合算タイムによって、28号車が今シーズン初のポールポジション獲得に成功。これに1号車が続くこととなり、PETRONAS SYNTIUM BMW Z4M COUPEの2台がフロントローから表彰台を目指すこととなった。

▲▽▲8月2日 決勝 天候:雨 気温21℃(午後2時)

 決勝日を迎えた富士スピードウェイ。夏休みに合わせた有意義なイベントが数多く会場内で開催されていたが、天気は生憎の雨。しかも時折風を伴いながら強く降るなど、荒れ模様の1日となった。

 午前8時15分から30分間にわたるフリー走行。チームでは雨の富士での経験値を積むべく、F・ハイルマン、そしてJ・アズミのふたりを中心に走行。決勝に向けての準備を順調に進める。気になる雨は、決勝を前にしたピットウォークでも降り続いていたが、午後1時からの決勝を前に一旦止む。フロントローに並ぶPETRONAS SYNTIUM BMW Z4M COUPEの2台には、1号車に柳田、そして28号車には片岡が乗り込み、ローリングラップを開始。4時間にわたる長期戦が始まった。

 レースが始まるや、柳田と片岡のふたりはラインを交錯させてトップ争いを展開。そうこうするうちに、再び雨が落ち始めた。雨脚が強まる中、序盤からレースをリードしたのは、No.1 柳田。安定したペースで次第にNo.28 片岡を引き離していく。そして開始からおよそ1時間半後、43周を終えた片岡がまずピットインし、吉田広樹へスイッチ。併せて給油とタイヤ4本の交換が行われた。さらにその2周後には柳田もピットイン。F・ハイルマンへステアリングを託したが、こちらは給油のみでタイヤ無交換のままピットを離れた。

 中盤、順調にラップを重ねていくことが大前提にコースに向かった吉田とハイルマン。だが、吉田にアンラッキーが訪れた。アウトラップからまだ数周、ヘアピンでST-3クラスとの接触があり、フロントバンパーを傷めてしまう。場合によってはオレンジボールが出る可能性があると判断したチームでは吉田をピットに呼び寄せ、バンパーの応急処置を行ったほか、接触で傷めた左フロントタイヤ1本のみ新品へと交換して、コースへと送り出した。このアクシデントにより28号車はトップから2周の遅れをとることになる。だが、コースへ復帰した吉田はこの遅れを挽回すべく渾身の走りを見せ、雨が小康状態となってからは、好タイムを連発。さらにはファステストラップとなる2分00秒178をマーク。この努力が実を結び、クラス2位への浮上を果たした。

 一方の1号車。タイヤ無交換でコースインしたハイルマンは、タイヤのライフに配慮しながら安定したラップタイムを刻む。結果、2位にほぼ1周近い大差をつけ、およそ1時間30分を走破。午後4時を過ぎ、再び雨が強くなり始めたタイミングでピットインを実施する。ピットで待ち構えたのは、谷口信輝。今度は給油、タイヤ交換を行い、コースへ。あっという間に土砂降りへと豹変する中、谷口は高いマシンコントロール力を見せて、ライバルたちを圧倒。大量のマージンを築きながらも、なお攻めの姿勢を貫いて完勝のチェッカーフラッグをトップで受けた。

 28号車は、当初吉田からアズミへとスイッチする予定だったが、アズミが雨の富士で初レースとなることや悪天候のコンディションを考慮。最後のスティントを再び片岡が担当することになった。そしてチェッカーまで50分の時点で28号車がピットイン。片岡はタイヤ交換せずに補給のみ済ませてコースインした。すでに吉田がレインタイヤで乾き始めた路面の中で懸命のプッシュを続けていただけに、すでにタイヤのコンディションは厳しい状態だったが、冷静かつ巧みな走りでポジションアップ。クラス2位、総合3位へと導くことに成功した。また、今シーズンの折り返しを終えた今回、ポイントランキングで1号車が再びトップへと浮上。さらに28号車が2番手で続くことになった。

◆鈴木哲雄監督
今日、レースは途中で雨が上がるだろうと思っていました。まず先に28号車をピットインさせ、タイヤ交換しましたが、そのタイヤを見て、1号車は無交換で行こうと思いました。一方、接触にあった28号車は、大事を取ってピットインさせて修復することを選びました。ガムテープで応急処置し、タイヤを左前1本(ぶつかったのは右前)だけ変えて送り出しました。少しでも前でチェッカーを受けるために、チームとしてもう一度片岡にドライブしてもらい、プッシュすることを選択しました。タイヤのコントロールが難しいなか、うまく仕事をしてくれたと思います。今日はどのドライバーも自分の仕事をよくこなして頑張ってくれました。

◆No.1 PETRONAS SYNTIUM BMW Z4M COUPE
谷口信輝
最後の雨は危なかったですね。後ろも厳しい状態だからペースは上げなくても大丈夫と無線で言われましたが、気がつけばガンガンにプッシュしてました。雨が増えて、危ないシチュエーションになると僕の担当になるみたいです(笑)。チェッカーを受けるころはとんでもない雨量になっていてヒヤリとしましたが、レース中には何も起こらずほっとしました。今日の勝利でシリーズ争いもトップに再浮上できたので良かったです。

柳田真孝
スタート直後からいいペースで走れました。とにかく後ろとのギャップを広げたいという気持ちが大きかったですね。ファリークとの交代のタイミングは燃費との兼ね合いでした。タイヤ無交換も結果的に路面が乾いてきたのでうまく行きましたね。今日はうまくみんなが自分の持てる力を引き出して、レースができたと思います。非常にいい戦いができました。お客さんんも雨のなか多くの方が来てくれたので良かったです。

ファリーク・ハイルマン
今日はレースを楽しむことができました。レースでは雨がきつくなるのかと思ってたんですが、僕のスティントでは雨量が減りました。でもタイヤを換えていなかったのであまり無理せず走行することを心がけました。ちょうど交代間際になって雨がひどくなってきたときのドライブは大変でした。すでにタイヤのグリップもなかったので、コントロールすることで一生懸命でした。うまく最後までやり遂げることができてうれしいですね。

◆No.28 PETRONAS SYNTIUM BMW Z4M COUPE
片岡龍也
最初のスティントでは、クルマのバランスが思ったほど良くなかったので、ガソリンをセーブしながら着実なレースを心がけました。2度目のスティントではタイヤ無交換でコースインしました。先に吉田がレインタイヤで路面が乾き始めたところを攻めていたこともあって、交代後のタイヤは厳しい状態でした。それでも終盤、3位からの追い上げがあるかもしれなかったので、とにかくクラス2位をキープしたいという気持ちで周回を重ねました。結果が残せてほっとしています。

吉田広樹
ヘアピンでST-3クラスとの接触がありました。焦る必要はなかったのに、結果としてクルマにダメージを負うことになってしまい、反省しています。これでフロントバンパーを傷め、ピットインすることになりました。修復後はなんとかして挽回しようと、ファステストラップも出すことはできましたが、そういう走りができるのであれば、最初からもっときちんと仕事をしないといけませんね。結果が出たので良かったですが、みんなに迷惑をかけてしまい、申し訳なく思います。

ジョハン・アズミ
今日は見ていても大変なレースでした。あの中でクラス2位になれてよかったと思います。決勝で走るチャンスがなかったのは残念ですが、少しでもいい成績を取るためにはチームとしての判断は大切だと思います。今の僕にとって必要なのは、色んなことを学ぶこと。とくに、クルマについてよく知るということが今一番大事なことです。まだ今シーズン3戦残っているので、これからまだチャンスはあるでしょう。


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