2018年の開催が見送られた北米中心のラリークロス、GRCグローバル・ラリークロスに参戦していたホンダ・シビック・クーペ・タイプRが、ヨーロッパ圏を中心に人気を博しているWorldRX世界ラリークロス選手権と、同じプロモーターが新たに立ち上げたARXアメリカン・ラリークロス選手権参戦に向けて、マシンの改修プランが進められている。
スウェーデンを拠点とするラリークロス界のトップファクトリー、オルスバーグMSE(OMSE)が開発・製造を担当したシビック・クーペは、2017年までGRCのシリーズパートナーであるレッドブルの支援を受けてワークスチームとしてシリーズに参戦。シリーズを席巻していたアンドレッティ・オートスポートのワークス・フォルクスワーゲン勢と激しい争いを繰り広げてきた。
しかし、GRCが“消滅”したことでシビック・クーペの活動の場が消失。GRCはWorldRXとは異なる独自レギュレーションを採用していたため、マシンのホモロゲーション取得にはマシンの改修作業が必要だった。
今回は長期のプロセスを経て、スウェーデンのモータースポーツ連盟であるSBFが“FIAのホモロゲーション車両リストには載っていないものの、スーパーカー規定に適合する”という形で承認。WorldRXとARX参戦へ一歩前進した。
ラリークロスのトップドライバー、ケビン・エリクソンの父でもあり、OMSEの代表を務めるアンドレアス・エリクソンは、かねてからFIAチャンピオンシップへの参加を目指して登録申請を続けていたが、シビック・クーペのキャビンサイズを取り巻く解釈の明確化が、承認作業の遅れを招いたと説明した。
「この作業に向け努力を重ねてきた誰かが誤りを犯したとか、そういう問題ではなかった。ただ単純にクーペボディだったことが各種の寸法や隔壁などの確認作業に時間を要する要因になったんだ」とエリクソン代表。
「さらにベースモデルであるシビック・クーペは北米市場でしか販売されておらず、そのことも少なからず作業が遅れる要因になった。でも今はすでにリストに車名が掲載されており、マシンの小規模な改修を終えれば、すぐにでも戦いに戻ることができるよ」