ノルウェーのヘルで6月17~18日に開催された2023年WorldRX世界ラリークロス選手権第2戦は、自身のファミリーチームであるフォルクスワーゲン・ディーラーチーム。バウハウスから参戦の“5冠王者”ヨハン・クリストファーソン(フォルクスワーゲンRX1e)が、いつもどおり“無慈悲”なスタイルで予選スーパーポールからの4ヒート、そしてセミファイナルから最終決戦まで、1度もライバルを前に出すことなく『週末完全制覇』を達成する強さを見せた。
また、この週末に併催された電動ステップアップ・シリーズのFIA RX2e選手権開幕戦では、同じく電動ワンメイクのオフロード選手権エクストリームEにレギュラー参戦するミカエラ-アーリン・コチュリンスキーやクリスティーナ・グティエレス、ケイティ・マニングスに加えて、開幕直前にライア・サンズの“復帰”もアナウンスされ、実力派女性ドライバー4名が並び立つ華やかなラインアップで争われた。
そんな今季初戦ファイナルは、強豪ハンセン・モータースポーツが運営するジュニアチーム、#YellowSquadから参戦のアイザック・シェクヴィストが制し、これがシリーズデビューのコチュリンスキーはいきなりの3位表彰台を獲得。マニングスも初日にヒート初勝利を決めている。
起伏に富み、要求の厳しいランケバーネンのトラックは、17日の土曜から最高峰RX1eを筆頭に内燃機関のEuroRX1、電動RX2e、そして前輪駆動のEuroRX3と各選手権が走行を繰り返し、とくにグラベル路面はセッションごとに状況が変化する難しいコンディションとなった。
それでも速さを披露したのは、やはり昨季の電動化初年度でも“絶対王政”を継続したファイブ・タイムス・チャンピオンで、スーパーポールこそ2018年以来のフル参戦となるセバスチャン・ローブ(ランチア・デルタEvo-e RX)が序盤に最速タイムを叩き出したものの、最終的に僚友グスタフ・ベリストローム(フォルクスワーゲンRX1e)を従えたクリストファーソンが逆転。そのまま初日の2ヒートも制してみせた。
「コンディションは非常にトリッキーでミスをしやすかった。一歩間違えると大幅なタイムロスになるし、全力で攻めるのは簡単じゃなかったよ」と、初日を終え慎重な言葉を発したチャンピオン。
「それでも良いスーパーポールを獲得できたし、スタートは2回とも良かったし、クルマの感触も良かったから何の不満もないよ。トラックがつねに変化しているから非常に正確でなければならないし、緩い轍に片輪を入れると、わずかひとつのコーナーでコンマ7秒を失う危険性さえある。つねに気を引き締めて細部に目を向け、明日も改善を続けられるかどうかを確認しなければならないんだ」
同じく、パドックでは「彼女たちが(クルマや競技に)慣れるまで、どれくらい時間が掛かるか」に注目が集まっていたFIA RX2eでは、ヒート1でチームメイトをしのぐ3番手タイムを記録し、その後も接触バトルに巻き込まれながらトップ5を維持し続けたコチュリンスキーが、昨季上位ランカーに次ぐ4番手で初日を終えることに。
一方、ヒート1でハーフスピンを喫するなど難しい走り出しとなったマニングスは、ヒート3でポールポジションから理想的なスタートを切ると、地元出身ドライバーを抑え切って初勝利をマーク。早くも競技フォーマットに対応しつつ、ワンメイク車両の『ZEROID X1』を手なづけ、初日を5番手で終えた。