厳しいレースを乗り切りため、これまで以上に強いクルマづくりを目指すこととなったトヨタは、2018年型トヨタTS050ハイブリッドの信頼性を高めることに重きをおいて開発を行なってきた。
可夢偉と中嶋一貴が登壇したトークショーでは、その開発の一部として行われた冬の間のテストで、擬似的に起こしたトラブルにドライバーやメカニックが対応するシミュレーションや、実際に3輪走行でコースに出てピットまで戻ってくるという“防災訓練的”なトラブルシューティングも複数回行われたことが明かされている。
そんなトークショーではマシンの進化について話が及び、2012年からWECに出場し続けている一貴は「TS050ハイブリッドは当時のマシンとはまったく違う。特に乗りやすさは雲泥の差です」と語った。
「2012年(のTS030ハイブリッド)はいわゆる“じゃじゃ馬”で、走るだけで精一杯という状況でした。しかし、現在のクルマは当時よりもパワーが増えているのに乗りやすい。パワーが効率よく路面に伝えられているのだと思います」
この意見に可夢偉も同調し「LMP1参戦当時は(ドライビングが)とても難しいと感じていたが、最近は乗っていると気持ちいい。他カテゴリーにも乗ってますけど、雨の日に一番怖がらずに乗れるがLMP1なんです」とマシンの飛躍的な進化を認めている。
「皆さんには(今年は)誰と戦っているんだ? 思われていますが、ル・マンこそライバルが居なくても戦う相手がいるんです」と可夢偉。
「ゆっくり走るのではなく去年より速く、そして信頼性を上げたマシンで、今年こそトラブルなく走りきり表彰台のトップに立てるようにしたいです」
また一貴も「毎年毎年(ル・マンで)戦ってきて、期待を裏切り続けてしまった。今年勝たなくていつ勝つんだと思われていますが、戦い切ることの難しさは誰よりも分かっているつもりです」と語り、「7号車と8号車のどちらも表彰台に登って、いい報告ができるようにしたい」と意気込んだ。
ル・マン24時間は今週末の6月3日(日)に控えたテストデーを経て6月16~17日に本戦を迎えるが、トヨタでは決勝レース開催中、レーススタートから1時間後と日本時間翌17日(日)9時、12時、17時、21時そしてチェッカー後の23時にダイジェスト動画をTOYOTA GAZOO Racingホームページ内の特設サイトで公開する。
また、東京・お台場のMEGA WEBでは、昨年に引き続きパブリックビューイングイベントが実施される予定だ。