6月12日、FIA国際自動車連盟はWEC世界耐久選手権の最高峰、LMP1クラスに適用されるEoT(イクイバレンス・オブ・テクノロジー=技術の均衡)を交付した。これによって6月13~17日に開催される『第86回ル・マン24時間レース』で総合優勝を争うTOYOTA GAZOO Racingと、レベリオン・レーシングをはじめとする5つのプライベーターチームのマシンの基本的なパフォーマンスが定まることとなった。
まもなく開幕する2018年のル・マンに向けて発表された今回のEoTは、事前のテストで用いられた暫定版から本質的には変わっていない。というのもプライベーターチームが走らせるノンハイブリッドマシンの最大燃料流量が、テストデー時の108.0kg/hから変更されなかっためだ。
また、これまでシーズン開幕前のプロローグテスト、開幕戦スパ・フランコルシャン、ル・マンテストデーと各イベントごとにEoTが更新されるなかで“基準車”となっている唯一のハイブリッド搭載マシン、トヨタTS050ハイブリッドの調整値は今回も据え置かれている。
一方、FIAは最新のEoTで、テスト時には記されていなかったノンハイブリッドマシンのラップあたりの最大エネルギー量、1スティントあたりの燃料搭載量および給油リストリクター径を明記。これによりル・マン“本戦用”のEoTが確定した。
ノンハイブリッドマシンが使用できるエネルギー量は、昨年のLMP1-Lに許されていた204.4MJ/Lapとほぼ同等の205.0MJ/Lapに。この値はシーズン開幕前に発表されていた210.9MJ/Lapからは減少しているが、124.9MJ/Lapに制限されているトヨタとは依然として約64%の差がある状況で、その差が49%となっていたスパ6時間のEoTからは緩和される形となっている。
また、1スティントあたりのガソリン搭載量も開幕戦時の47.1kgと比べて増加。しかし、開幕前にアナウンスされていた54.0kgからは微減となる52.5kgに設定された。これは同値が35.1kgとなっているトヨタよりも約49%多い搭載量だが、FIAはプライベーターの最大周回数を1スティント10周、トヨタが11周となるように調整を行っている。
さらに、ノンハイブリッドマシンのラップタイムが、ハイブリッドマシンに対して1周0.5~1秒遅れることを理想としているFIAは、ノンハイブリッドマシンのパフォーマンスがハイブリッドマシンのそれを上回った場合には、13日(水)の走行開始後でもEoTを調整する権利を有する。
■2018/19年WEC世界耐久選手権LMP1 EoT(6月12日版)
ノンハイブリッド | ノンハイブリッド | ハイブリッド | |
---|---|---|---|
エンジンタイプ | 自然吸気 | ターボ | ターボ |
MGU放出エネルギー | 0 | 0 | <8MJ |
MGU放出パワー | 0 | 0 | <300kW |
最低重量 | 833kg | 833kg | 878kg |
エネルギー量 | 205.0MJ/Lap | 205.0MJ/Lap | 124.9MJ/Lap |
最大燃料流量 | 108.0kg/h | 108.0kg/h | 80.0kg/h |
最大燃料搭載量 | 52.5kg | 52.5kg | 35.1kg |
給油リストリクター径 | 21.35mm | 21.35mm | 19.00mm |