フランスのコンストラクターであるオレカは、WEC世界耐久選手権で2020/2021年から導入が予定されている“ハイパーカー規定”のなかでカスタマープログラムを実施すべく、テクニカルレギュレーションの初期研究を行っている。
オレカはWECをはじめ、各地のル・マン・シリーズのLMP2クラスでリジェ、ダラーラ、ライリー/マルチマチックという3社を相手に最大勢力を誇るシャシーコンストラクターだ。2018/19年シーズンはWECのLMP1クラスを戦うレベリオン・レーシングにも『オレカ07』をベースとする『レベリオンR13』を供給している。
そんなオレカは、いくつかのマニュファクチャラーが興味を示しているといわれる“ハイパーカー規定”で、小規模メーカー向けにプラットフォームを供給したいと考えており、それに向けた技術研究をすでに進めているという。
オレカのテクニカルディレクターを務めるデビッド・フローリーはSportscar365に対し次のように語った。
「新しいレギュレーションはとても魅力的だと思う。ワークスチームの下で争われた過去数年間のLMP1と比べて、参戦コストは確実に削減できるだろう」
「プライベーター目線では(ハイブリッドシステムの導入などで)開発コストが増すことになるが、それでもまだ開発を進める余地はある」
「我々はプロジェクトが承認されるまで活動を待たなければならいないが、すでに技術的な側面を調査するためにいくつかの研究を開始している。ターゲットへの準備はできているんだ」
また、フローリーは提携の相手として、現在パートナーシップを結んでいるレベリオンのようなレーシングチームとのコミットメントを期待するのは「時期が早い」とした一方で、「少量生産のスポーツカーやスーパーカービルダーが理想的なパートナーになるだろう」と述べている。
ハイパーカー規定では生産車ベースのパワートレインの搭載が推奨される一方で、車両デザインは特定のロードモデルに紐づける必要がない。そのためオレカは車両デザインを含めたプラットフォームの供給を目論んでいる。
■今から計画をスタートさせても2020/21年シーズン序盤に間に合わない
「レベリオンのようなプレイベーターチームも含め、小規模スーパーカーメーカーと合弁会社を設立してシリーズに参加するための共同作業を行うこともできる」とフローリー。
しかし、彼は「たとえ今後数週間のうちに正式な提携交渉が実現できたとしても、プログラムは新規定導入初年度の2020/2021年シーズンに間に合うような準備ができないだろう」と認めた。
同様の懸念は複数のマニュファクチャラーからもあがっている。
「控えめに言っても、初年度からの参入はとても困難になるだろう」とフローリーは述べた。
「少なくとも2020年の序盤からシリーズに入るのは非現実的に思える。シーズン中には間に合う可能性があるけどね」