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ル・マン/WEC ニュース

投稿日: 2021.08.23 02:20
更新日: 2021.08.23 02:57

再発したトヨタの燃料系トラブル「ガレージで修復していたら“ゲームオーバー”だった」/ル・マン24時間

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ル・マン/WEC | 再発したトヨタの燃料系トラブル「ガレージで修復していたら“ゲームオーバー”だった」/ル・マン24時間

 8月21〜22日にフランス、ル・マンで行なわれたWEC世界耐久選手権第4戦ル・マン24時間レースでワン・ツー・フィニッシュを飾ったトヨタGAZOO RacingのGR010ハイブリッド。最終的なリザルトはチームにとって最高の結果となったが、勝利を失いかねないトラブルも発生していた。

 レース後、トヨタGAZOO Racingヨーロッパのテクニカル・ディレクター、パスカル・バセロンは、2台のマシンに起きた燃料系統のトラブルについて説明している。

 ル・マンでのGR010ハイブリッドには、レース中盤より、タンク内の燃料をすべて使うことができず、当初予定したよりも1スティントが短くなるというトラブルが発生。チームは、走行を続けながら問題を解決する方法を探ったという。

「今朝から、いくつかの問題が発生した」とバセロン。

「我々は、本当にハードに働いた。チームの多くのスタッフが、これまでになかった問題を解決するため、本当にクリエイティブに働いた」

「これは(第3戦モンツァで発生したものと)同様の問題だった。モンツァではそれを修復しなかった。ここでは、(クルマをガレージ入れれば)修復は可能だった」

 バセロンは、問題を解決するには「時間がかかりすぎる」ことを認めた。燃料タンク内の燃料コレクターとフィルターを交換するには、それぞれのクルマにおいて少なくとも25分かかったであろうと、バセロンは推定している。

 もしその作業を行なっていれば、トップから4周おくれでフィニッシュしたアルピーヌ・エルフ・マットミュートの36号車アルピーヌA480・ギブソンに勝利をもたらしたはずだ。

「それをしたら、このレースはゲームオーバーになる、と分かっていた」とバセロンは述べている。

「それが、修復(交換)はできたがやらなかった理由だ」

 セバスチャン・ブエミ、中嶋一貴とともに8号車を2位に導いたブレンドン・ハートレーは、2台のマシンをフィニッシュさせたのは「チームの大きな努力」の賜物であると語っている。

「僕らは燃料ポンプ、おそらく燃料フィルターにも問題を抱えていた」とハートレーは語っている。

「僕らは(タンク内の)すべての燃料を使うことに苦労していたので、5周や6周といったスティントでの走行を始めた。セブ(ブエミ)は、2周というときもあったと思う」

「レースの終わりまで走り切れるのか、確信が持てなかった」

「チーム全体での、素晴らしい仕事だったと言わざるを得ない。彼らは、僕らが最後まで走り切るための実行可能な解決策を見つけたんだ。セブは、言うなればモルモット役だった」

「彼はピットとの素晴らしいコミュニケーションで、走行中にテストを行い、僕らの持ついくつかのボタンとシステムでそれをなんとかしようとした。それは実際には僕らにとって簡単なことじゃなかった」

「僕らはもう手一杯で、各ラップの各コーナーのブレーキング区間で、ステアリング上にあるあらゆる種類のボタンを押していたよ」

「最終的に実行可能な解決策を見つけたことは、7号車が最後まで走り切れることも意味した」

「それがル・マンだ。この種の話は、常にある。パンクなど、僕らの間にはいくつかの異なる問題が発生したが、常に7号車と戦っている状態だった」

 小林可夢偉、ホセ・マリア・ロペスとともにル・マン初優勝を遂げたマイク・コンウェイは、レースの最後の6時間は「本当にストレスの多いものだった」と語った。

 燃料系の問題は最初に8号車で発生したが、7号車チームも最終的にはそれと戦うことになった。

「大変だった」とコンウェイ。

「この(最後の)6時間は、本当に大きな問題になる可能性のある何かが、クルマに起こっていることはわかっていた」

「幸い、チームは僕らが走り続けるための解決策を見出した。それを発見してくれたおかげで、ワン・ツー・フィニッシュを確実に得ることができたという功績は、とても特別なものだ」

「この6〜7時間は本当にストレスが溜まった」

「このレースは決して簡単ではない。それまでに多くのラップをリードしてきていたとしても、最後まで心配は尽きないんだ」

ランデブー走行でチェッカーフラッグを目指す2台のトヨタGR010ハイブリッド
ランデブー走行でチェッカーフラッグを目指す2台のトヨタGR010ハイブリッド

 この問題の正確な原因については、まだ調査中であるとバセロンは言う。ただし、先月のモンツァ6時間レースで発生した燃料汚染(不純物が混入する)問題と類似していることを、バセロンは示唆している。

「調査する必要があるが、大きな違いは、今回は1時間ものストップを回避する方法を見つけたことだ」とバセロンは語っている。

「この愚かな燃料プレッシャーの問題を別とすれば、(接触という)アクシデントに見舞われてもなお、クルマの信頼性は非常に力強かった」

「スタートでは、(8号車に接触した708号車グリッケンハウス007 LMHの)オリビエ・プラは、我々に何の影響も与えなかった。かなりの大きな接触だったが、幸いそれは左リヤのホイールにヒットし、我々にダメージはなかった」

「これは我々にとって、本当に良い驚きだった。その後、セブはLMP2とも接触したが、そこでもいかなるダメージも受けなかった」


この記事は国内独占契約により 提供の情報をもとに作成しています

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