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ル・マン/WEC ニュース

投稿日: 2023.07.19 00:22
更新日: 2023.07.19 01:50

D’station Racing 2023 WEC世界耐久選手権第5戦モンツァ レースレポート

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ル・マン/WEC | D’station Racing 2023 WEC世界耐久選手権第5戦モンツァ レースレポート

D’station Racing

Race Report – 2023.7.18

dstation-racing.jp
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2023 FIA World Endurance Championship
Round 5 6 Hours of Monza (ITA)

JUL. 07 – 09 Qualify :11th / Race:Retired

苦しいレースウイークはまさかのアクシデントで終わる

 フリープラクティスでのクラッシュから車両を修復、荒天のなかで安定した戦いをみせながらも、マシントラブルに泣いたル・マン24時間から約1ヶ月。WEC世界耐久選手権はいよいよ終盤戦となる第5戦を迎えた。舞台はイタリアのアウトドローモ・ナツィオナーレ・ディ・モンツァ。2021年に嬉しい初表彰台を獲得したコースだ。

 ただ今季は第3戦以降、D’station Racingが使用するアストンマーティン・ヴァンテージAMR GTEは性能調整(BoP)がいくぶん緩和され、戦えるパフォーマンスが得られていたものの、今回のモンツァからふたたび開幕2戦並みに数値が下げられてしまった。7月7日(金)に気温27度という暑さのなかで始まったフリープラクティス1から状況は顕著で、藤井誠暢からコースインし星野敏、キャスパー・スティーブンソンと交代しながら走行し1分49秒498というベストタイムを記録するも、ライバルとのタイム差が大きい。

 続くフリープラクティス2も気温が29度まで上がるなか、星野、スティーブンソン、藤井、星野と交代しながら39周を走り、1分48秒698というベストタイムを記録したが、2セッションとも順位は最後尾。苦しい週末となることが予想された。同じヴァンテージAMR GTEを使うORT by TFも同様に苦戦していることから、性能調整によるものは明らかだった。

 走行2日目となる7月8日(土)も暑さは変わらず、気温28度のなかフリープラクティス3に臨むが、苦境はやや脱しつつあるもののなかなか順位は変わらない。迎えた午後の予選では星野敏がアタックを展開したが、セッション中スピン車両があり、コース上に砂利が出たことから赤旗中断になるなど、うまくアタックのタイミングを掴めず、最終周に1分49秒509を記録したものの、11番手からスタートを切ることになった。

 とはいえ、苦境のなかでもできることはある。今シーズンからWECに導入されたセーフティカーやフルコースイエローの規定をうまく活用するべく、ひさびさにスタートドライバーに星野を据えてレースを戦うことになった。うまく活用できればポジションアップも可能だ。

 決勝日となった7月9日(日)も気温32度という暑さのなか、現地時間午後0時30分から決勝レースがスタートした。星野は序盤からポジションを上げる戦いぶりをみせたものの、5周目に同じ日本勢である#57 フェラーリと1コーナーの攻防のなかで接触。わずかに順位を下げてしまった。とはいえこの接触の影響はなく、星野はふたたび追い上げをスタートさせた。

 しかし8周目、後方から総合トップ争いを演じるハイパーカーの集団が星野に接近してきた。星野は他のLM-GTE車両と同様、きっちりとイン側を譲り先行させていたが、高速のターン8であるバリアンテ・アスカリへターンインしようかというタイミングで、星野にまさかの衝撃が走る。イン側にいた#8 トヨタがアウト側に進路を変え、ヴァンテージAMR GTEはコンクリートウォールに弾き飛ばされてしまったのだ。

 車両の前後をヒットしたアストンマーティンはグラベルにストップ。大きなアクシデントだっただけに星野の身体が心配されたが、幸い怪我はなかった。ただ、ヴァンテージAMR GTEは非常に大きなダメージを受けることになってしまった。なお、このアクシデントで#8 トヨタのドライバーには1分間のストップ・アンド・ゴー・ペナルティが課されている。

 わずか13分のレースになってしまったモンツァでの戦い。次戦は9月と間は空いているが、母国富士スピードウェイのレースで、イギリスからの輸送を経なければならない。ヴァンテージAMR GTEはフレームにダメージを負っており、チームは母国戦へ向け頭を悩ませることになってしまった。とはいえ、辛いことがあれば良いこともあるのがレース。母国戦でこれまでの不運を払拭したいところだ。

D'station Racing 2023 WEC世界耐久選手権第5戦モンツァ レースレポート
D’station Racing 2023 WEC世界耐久選手権第5戦モンツァ レースレポート

COMMENTS:

Driver:Satoshi HOSHINO
WECモンツァ戦は11番手からスタートドライバーを担当しました。スタートこそ良かったものの、一度接触があって順位を落としてしまいました。その後、ハイパーカー車両に接触されるかたちでクラッシュすることになってしまい、残念ながらリタイアとなってしまいました。私に怪我はなく、身体は大丈夫だったのですが、クルマのダメージが大きく、次戦のホームレースである富士に向けて、なんとかクルマが間に合ってくれることを願っています。WECの今シーズンもいよいよ残り2戦となります。次は昨年表彰台を獲得することができた富士でのレースですし、あと2戦は良いレースができるように頑張っていきたいと思います。今回も応援ありがとうございました。

Driver:Tomonobu FUJII
今回のレースは後方からのスタートとなりましたが、序盤に入る可能性があったセーフティカーやフルコースイエローなど、今シーズンのレギュレーションを考え、星野選手にスタートドライバーをお願いしました。残念ながら序盤に大きなクラッシュに遭うことになってしまいましたが、幸い星野選手の身体が無事だったということで、その点は安心しました。クルマとしては、現状前後ともにフレームが曲がってしまっている状況です。次戦富士まで時間も少ないので、その対策をしなければなりません。とはいえ、ホームレースの富士は表彰台にも乗っているサーキットです。地元で良いレースができるよう、時間がないなかではありますが、精一杯努力していきたいと思います。

Driver:Casper STEVENSON
この週末はフリープラクティスは順調に進めることができて、クルマも良い調子だった。すべてうまく進んでいたと思うんだ。僕たちはしっかりとレースを完走しようとプランを作っていたけれど、他車にヒットされて激しくクラッシュしてしまうという本当にアンラッキーなアクシデントが起きてしまった。星野サンにはどうしようもない出来事だったけれど、彼の身体に問題がなかったのは本当に良かったよ。藤井サンとともに良いリザルトが得られると思っていただけに残念だね。もちろん次のレースは、D’station Racingにとってのホームレースだ。今週は良い結果にならなかったけれど、ホームレースでは速さをみせて、良い結果を得ることができるように願っているよ。

Team Director:Tom FERRIER
WECモンツァはアストンマーティン勢にとって、BoPとしても非常に苦しいレースとなってしまった。第1戦セブリング、第2戦ポルティマオも非常に苦しく、第3戦スパから良くなったのだが、今回からまた前半戦と同じ状況になってしまい、なかなか走りはじめからパフォーマンスを示すことができなかった。残念ながらレースではクラッシュがあり、車両が大破してしまった。D’station Racingとしては、現状で次戦富士に向けたロジスティクスまでの期間が1週間しかなく、どうやって富士にクルマを用意するのかを対策している状況だ。なんとかして富士に万全の状況で臨みたいと思っている。

Chief Engineer:Jonathan LYNN
クルマのセットアップはうまくまとまっており、レースストラテジーもさまざまな状況を予想していたので、BoPとしては苦しい状況ではあったが、なんとかして上位に食い込みたいと考えていた。レースは残念ながら序盤のクラッシュによりリタイアという結果となってしまったが、ドライバーに怪我がなかったのは本当に安心したよ。シーズンは残り2戦だが、特に次の富士はD’station Racingとしてのホームレースだ。昨年のように良いレースをしたいと思っているし、エンジニアとしてもドライバーに喜んでもらえるクルマを作ることができるよう努力してきたいと思っているよ。

D'station Racing 2023 WEC世界耐久選手権第5戦モンツァ レースレポート
D’station Racing 2023 WEC世界耐久選手権第5戦モンツァ レースレポート


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