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投稿日: 2022.05.26 11:07

ThreeBond Drago CORSE 2022スーパーフォーミュラ第4戦オートポリス レースレポート

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スーパーフォーミュラ | ThreeBond Drago CORSE 2022スーパーフォーミュラ第4戦オートポリス レースレポート

七転八倒

 2022年度全日本スーパーフォーミュラ選手権シリーズ第3大会(第4戦)が、5月21日(土)〜22日(日)にかけて大分県のオートポリス・インターナショナルレースコースで開催された。

 チームは、これまでの3レースを通し全般的なグリップ不足を訴え続けてきた福住仁嶺選手(以下、福住選手)のコメントを元に、これまで試したことのない方向性で大幅なセッティング変更を行い、サーキットの現場へ持ち込んだ。また、今回のレースより再びエンジニアリング全般を伊与木仁氏に一任し、データエンジニアを新井凌氏が担当し、チーム構成も見直しを図る体制で臨んだ。

公式予選

 公式予選が行われる5月21日(土)のオートポリスは、前夜に雨が降ったこともあり、気温16°C、路面温度20°Cと例年よりも冷え込んだ。

 公式予選に先立ち、午前9時40分から午前11時10分まで1時間半に渡ってフリー走行が行われた。大幅なセッティング変更を行ったマシンに乗り込んだ福住選手は、依然としてグリップ不足が解消されないと訴え、ピットインを繰り返してセッティングの再調整を進めた。フリー走行で25周を走行した福住選手は、出走21台中ベストタイムからは1秒178後れで16番手となる1分25秒791を記録した。

 午後は天候が好転し、公式予選が始まる午後2時過ぎには気温が21°C、路面温度が33°Cまで上昇した。福住選手は午後2時50分からの公式予選Q1のA組に出走。2周を掛けてタイヤをウォームアップした後、タイムアタックを行った。

 しかし、フリー走行を通して微調整を重ねたマシンの操縦性は改善されてはいたもののタイムは伸びず、フリー走行のタイムを短縮はしたが1分25秒735に留まり、Q2セッションへ進出できる6番手には届かない10番手に終わり、スターティンググリッドは19番手と決まった。

2022スーパーフォーミュラ第4戦オートポリス 福住仁嶺と伊与木仁チーフエンジニア(ThreeBond Drago CORSE)
2022スーパーフォーミュラ第4戦オートポリス 福住仁嶺と伊与木仁チーフエンジニア(ThreeBond Drago CORSE)

決勝レース

 5月22日(日)のオートポリスは、朝から晴天となり、気温、路面温度ともに急上昇した。午前10時15分から30分間行われたフリー走行で決勝レース用のセッティングを確かめた福住選手は、やはりグリップ不足を感じ、セッティングに微調整を加え決勝レースに備えた。

 気温24°C、路面温度44°Cまで上昇した午後2時30分、フォーメーションラップから決勝レースが始まった。

 実はこの週末、福住選手はスタート加速に不安を訴えており、19番手から臨んだ決勝レーススタートでも加速が鈍って一旦は最後尾にまで順位を落とした。しかしその直後コース上でアクシデントが発生、福住選手はそれを上手くすり抜けて、ポジションをオープニングラップのうちに17番手にまで上げた。

 アクシデント処理のため介入したセーフティカーは3周終了時点で退きレースは再開された。福住選手は4周目に16番手へ順位を上げたが、5周目に再びコース上でアクシデントが発生、セーフティカーがコースに入った。この時点で福住選手のポジションは14番手となっていた。

 セーフティカーは9周終了時点で退き、10周目からレースが再開された。このときチームは先頭車両が10周目に入った段階で福住選手にピットインを指示、そのまま福住選手はピットへ入ってタイヤ交換を行った後、最後尾で10周目からレースを再開した。できるだけ早くタイヤ交換義務を終え自分のポジションを上げる、いわゆるアンダーカットを狙った作戦だった。

 最後尾19番手でレースに復帰した福住は11周目に17番手、12周目に16番手、22周目に15番手、31周目に14番手、41周目に13番手に順位を上げて42周のレースを終えた。

 しかし、レース終了後に競技規則で「タイヤ交換義務は、先頭車両が10周回目の第1セーフティカーラインに到達した時点から先頭車両が最終周回に入る前までに完了しなければならない」と定められており、福住選手は1周早くピットインしタイヤ交換義務を果たしていないと判定され、レースの正式結果では失格の裁定を受けることとなった。

2022スーパーフォーミュラ第4戦オートポリス 福住仁嶺(ThreeBond Drago CORSE)
2022スーパーフォーミュラ第4戦オートポリス 福住仁嶺(ThreeBond Drago CORSE)

■コメント
福住仁嶺

「今回の持ち込みセッティングは期待したほどのフィーリングではありませんでした。その後、オートポリスのデータがない中で少しずつ良くしていくことができました。結果的には予選Q1で落ちてしまいましたがタイム差ではフリー走行の走り始めよりも短縮できましたから、セッティングを改善するヒントがあったように思います」

「決勝も非常につらい状況ではありましたが、最後まで走りきることでクルマの状態を確かめることができました。今のところ、いろいろセッティングに手を加えても反応してくれないという点が悩みなのですが、それが何故なのかを次のレースに向けて分析してトライすることにします。チーム全員が今苦労していますが、僕も全力を振り絞って役に立ちたいと思っています。失格裁定はとても残念で、こういう細かいミスも減らしていかないといけません」

2022スーパーフォーミュラ第4戦オートポリス 福住仁嶺(ThreeBond Drago CORSE)
2022スーパーフォーミュラ第4戦オートポリス 福住仁嶺(ThreeBond Drago CORSE)

道上龍監督

「今回は今までの流れとは違う方向で持ち込みセッティングをトライしたのですが、良い方向へ行かず、これまでの方向へ戻していくことになりました。しかし、結局は満足できる状態に至らないまま決勝をスタートすることになりました。レース中のラップを見ると1分31秒前後のペースで時々タイムが上がったり下がったりしていて、クルマのコントロールが難しいのだろうなと感じました」

「福住選手はそういう状態でレースを走りきってくれたのに、我々のルール解釈のミスで結果を残すことができず、本当に申し訳なく思っています。クルマのことばかり考え過ぎて。規則の解釈が疎かになってしまうという、監督としてあってはならないミスでした。ただ苦労してレースを走りきってくれてクルマに関しては得たものもあったので、次のレースに向けて何か見つけて、迷路から抜け出すキッカケを掴めると信じています」

2022スーパーフォーミュラ第4戦オートポリス 福住仁嶺(ThreeBond Drago CORSE)
2022スーパーフォーミュラ第4戦オートポリス 福住仁嶺(ThreeBond Drago CORSE)

伊与木仁チーフエンジニア

「ピットインのタイミングは完全に私のミスです。セーフティカーが退くタイミングを絶対に逃すまいと思っていて判断しました。こうなってしまったことについては皆さんに迷惑をかけて申し訳なく思っています。福住選手は「本当に大丈夫?」と確かめてきましたが、私が『大丈夫だ、入れ!』と言ってしまったのです」

「クルマについては、ここまで何をやってもフィーリングがあまり変わらないという状況にハマりこんでいるので、今までやってこなかった柔らかい足回りに変えて持ち込みましたが、あまり良い感触は得られず、セッション中にどんどん仕様を変えていくことになりました。ただ、このレースウィークの間、結果的にかなり幅広いトライをしたのは事実で、レース後に福住選手とも話をして、次のレースに向けてトライするべき方向性が見えてきたような気がします」


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