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投稿日: 2022.11.02 17:49

ThreeBond Drago CORSE 2022スーパーフォーミュラ第9戦&第10戦 レースレポート

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スーパーフォーミュラ | ThreeBond Drago CORSE 2022スーパーフォーミュラ第9戦&第10戦 レースレポート

2022シーズンラストパフォーマンス

 2022年度全日本スーパーフォーミュラ選手権シリーズ最終大会(第9戦および第10戦)が、10月29日(土)〜30日(日)にかけて三重県の鈴鹿サーキットで開催された。

 前大会から約2ヶ月のインターバルに、チームは改めてセッティングを追求し車両をまとめて鈴鹿へ持ち込んだ。前大会同様、1大会に2レースが開催されることを受けて、28日(金)の午後に1時間30分のフリー走行セッションが設けられた。

ここでは同じ鈴鹿サーキットで開催されたシリーズ第3戦と比較して操縦性の向上が見られ、福住仁嶺選手(以下、福住選手)は出走21台中、トップから0秒710後れの8番手タイムを記録してセッションを終えた。しかしトップスピードが逆に低下してしまう傾向が見られ、チームは公式予選に向けてセッティングの微調整を行った。

2022スーパーフォーミュラ第9戦&第10戦鈴鹿 福住仁嶺(ThreeBond Drago CORSE)
2022スーパーフォーミュラ第9戦&第10戦鈴鹿 福住仁嶺(ThreeBond Drago CORSE)

【第9戦】
公式予選

 一夜明けた29日(土)の鈴鹿サーキットは朝から快晴に恵まれ、強めの風が最終コーナーから第1コーナーへ向けて吹くコンディションとなった。福住選手は前日のフリー走行で快調だったセッティングに微調整を加えた車両に乗り込み、午前9時30分から10分間の公式予選Q1B組に出走した。タイヤを慎重にウォームアップし、タイムアタックを行い11台中5番手に食い込む1分37秒213を記録、Q2進出を果たした。

 午前9時50分から7分間のQ2セッションには12台の車両が出走した。Q1セッションよりも路面コンディションが好転し各車タイムアップ。福住選手もトップから0秒883後れの1分36秒903を記録したが、ラップタイムの伸び幅は他車に対してわずかに小さい。最終的にはフリー走行での順位より2ポジション後退した10番手のスターティンググリッドから第9戦決勝レースに臨むことが決まった。

2022スーパーフォーミュラ第9戦&第10戦鈴鹿 福住仁嶺(ThreeBond Drago CORSE)
2022スーパーフォーミュラ第9戦&第10戦鈴鹿 福住仁嶺(ThreeBond Drago CORSE)

決勝レース

 午前の公式予選から4時間半のインターバルを挟み、午後2時30分に決勝レースが始まった。ホームストレートでは午前中よりも強い追い風が吹くコンディションとなった。スタートの瞬間、10番手ポジションの福住選手は加速が鈍く、後方アウト側から平川亮選手のオーバーテイクを許して11番手で第1コーナーへ進入、さらに後方から追いついてきた阪口晴南選手とS字コーナーで並走状態になると、逆バンク前でオーバーテイクを許し12番手でオープニングラップを終えた。その後、福住選手のペースは上がらず、徐々に前走車から引き離されながら12番手を守って周回しタイヤ交換のタイミングを探った。

 しかしペースが上がらないことも考慮して、レース後半にセーフティーカーなどが入ったときに消耗の少ないタイヤで逆襲する戦略を選び、14周までタイヤ交換を遅らせた。タイヤ交換後15周目にコースに復帰した福住選手は追い上げにかかったが、交換したタイヤのウォームアップに予想以上の時間がかかり逆にポジションを落とすことになってしまった。

 結局、期待したセーフティーカーもレースに介入することはなく、また想定した以上にリヤタイヤの消耗が進み、思ったようなペースアップもできなかった。結局、福住選手はトップから44秒485後れの15位でレースを終えることになった。

2022スーパーフォーミュラ第9戦鈴鹿 福住仁嶺(ThreeBond Drago CORSE)
2022スーパーフォーミュラ第9戦鈴鹿 福住仁嶺(ThreeBond Drago CORSE)

【第10戦】
公式予選

 30日(日)の鈴鹿サーキット上空には、薄い雲が流れたが晴天に恵まれた。第10戦に向け、チームは第9戦でトップスピードが伸びなかった原因を分析し、トップスピードを伸ばす方向でセッティングの方向性を見直して公式予選に臨んだ。福住選手は、午前9時5分から10分間の公式予選Q1A組に出走した。

 セッティングを変更した車両のトップスピードは狙い通り第9戦よりも向上したが、反面S字コーナーでのアンダーステア傾向が生じ、ラップタイムは前日に行われた第9戦の公式予選より悪い1分37秒626に留まり、Q1A組9番手となってQ2進出はならなかった。この結果、福住選手のスターティンググリッドは18番手と決まった。

 チームは予選セッティングの延長で決勝セッティングを決めた第9戦とは考え方を変え、予選でのセッティングと決勝に向けたセッティングを切り分け、トップスピードを残しながらロングランした際にリヤタイヤが消耗する傾向を打ち消す方向での決勝セッティングを盛り込んだクルマを仕上げ、決勝レースに備えた。

決勝レース

 30日(日)午後2時30分、2022年シーズンを締めくくるシリーズ第10戦JAF鈴鹿グランプリの決勝レースが行われた。チームは予選から大幅に方向性を変えたセッティングを施した車両を福住選手に託した。

 福住選手は、スタート直前に8分間行われるウォームアップ走行でセッティングを確かめ、決勝向けセッティングに手応えを感じ、スターティンググリッド上での微調整も行うことなく決勝に臨むことを決めた。午前中に流れていた薄い雲は消え、快晴の空の下でスタートが切られた。18番手グリッドからスタートした福住選手は鋭い加速から前方にいた松下信治選手、阪口晴南選手をオーバーテイクし16番手からさらに順位を上げる勢いでアウト側から第1コーナーに進入した。これまでスタートでのクラッチミートには慢性的な課題があったが、福住選手はスタート練習を繰り返し、理想的なクラッチミートポイントを地道に探ってきた。

 その努力が実を結んだスタートダッシュだった。

 しかしあまりにも加速が良かったためか、第1コーナーへ向けてオーバースピード気味となってラインが膨らみ、福住選手は外側の縁石に乗って姿勢を崩すとそのままコースアウト、スポンジバリアに突入して走行不能になってレースを終えてしまった。結局、今シーズン福住選手の最上位はシリーズ第5戦スポーツランドSUGO戦での8位入賞で、シリーズランキングは19位でシーズンを終えた。

2022スーパーフォーミュラ第10戦鈴鹿 福住仁嶺(ThreeBond Drago CORSE)
2022スーパーフォーミュラ第10戦鈴鹿 福住仁嶺(ThreeBond Drago CORSE)

■コメント
福住仁嶺

「第9戦の予選は、今まで鈴鹿を走ってきた中では一番フィーリングが良くてQ2に進めましたが、Q2では周囲ほどタイムを上げられず10番手で終わりました。第9戦のスタートは蹴り出しが良くなくて順位を落としました。その後もペースが上がらず、非常に悔しい結果で終わりました」

「一方で、第10戦のスタートはまずまずで、勢いに乗ってもっと前に行きたいという気持ちが出過ぎてしまって、外側から大きくマクって行こうとしたら縁石に触れてしまい、クルマがバタついてハイサイドを喰らってそのまま外へ向いてしまい、リタイアする結果になってしまいました。全て自分のミスですので落ち込んでいます。チームには本当に申し訳ない気持ちでいっぱいです。いろいろ噛み合わないままシーズンを終えましたが、良い方向が見えてきたように感じています」

2022スーパーフォーミュラ第9戦&第10戦鈴鹿 福住仁嶺(ThreeBond Drago CORSE)
2022スーパーフォーミュラ第9戦&第10戦鈴鹿 福住仁嶺(ThreeBond Drago CORSE)

道上龍監督

「最終戦は、良いスタートだっただけに、頑張り過ぎて1コーナーで終わってしまったのは残念です。第9戦の決勝で良くなかったところを踏まえてクルマのセッティングを大きく変更したら、予選はあまり良くなかったのですが、決勝に向けてスターティンググリッドで福住選手に『どうだ?』と聞いたら、一言『これで行きます』と言ってくれました。本人も多少なりとも手応えを感じてくれていたのかなと思います」

「実際レースでどんな走りになるのかなと思っていたのですが、1コーナーで飛び出してしまって…。福住選手らしからぬミスだったと思います。ただ、人間が操って走るものですから、こういうことはあります。今年は1年通して1回しかポイントを獲ることができなかったということを考えると、あまり良くないシーズンでしたが、今後シーズンオフテストもあるので、レースウィークにできなかったことを試すつもりでいます」

「来年クルマが大きく変わりますが、基本的には空力と車体の足回りの総合的なバランスのスイートスポットを見つけないと早く走れないクルマには変わりがないので、そのベースになるようなバランスをなんとか見つけ出そうと思っています」

伊与木仁チーフエンジニア

「インターバルが長かったのでいろいろ考えてクルマを纏めて持ち込みました。最初のフリー走行と予選に関しては、ドライバーが望んでいるバランスに近づいた感触があって、割と良いところで走れました。でも反面トップスピードの伸びが以前に戻ってしまうという問題も出てきました。ラップタイムは良くなったのですが、ストレートのスピードが出ないと決勝レースではバトルができません」

「第10戦の予選で、原因を探るためにセッティングを振ってみました。結果、確かにスピードは上がりましたがS字でのアンダーステアが出てしまい、Q1で敗退することになりました。レースに向けてはスピードが残った状態を維持しつつレース後半にタイヤがタレないように考えたセットにしました」

「グリッドについた段階で福住選手は『セットはこのままでいいです』と言っていました。ただ本当に良かったかどうかを確認できないままレースが終わってしまいました。今季一番良いスタートを切ってドライバーとしてはもっと前に行きたいという気持ちになるでしょうし、前が開けていたらそこへ行ってしまうもので、今回は個人的にはドライバーを責める気にはなれません。シーズンを通して考えると、基本的には前進してきましたが、まだまだチームとしては課題が多いと感じました」

2022スーパーフォーミュラ第9戦&第10戦鈴鹿 福住仁嶺(ThreeBond Drago CORSE)
2022スーパーフォーミュラ第9戦&第10戦鈴鹿 福住仁嶺と伊与木仁チーフエンジニア(ThreeBond Drago CORSE)


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