SUPER FORMULA 2023
P.MU/CERUMO・INGING
RACE REPORT
第1戦 富士スピードウェイ
2023年4月8日（土）予選・決勝
天候：曇り 路面：ドライ
＃38 坪井翔
予選：6番手 決勝：リタイア
＃39 阪口晴南
予選：8番手 決勝：17位
新たなマシン、SF23導入元年となる2023年の全日本スーパーフォーミュラ選手権の開幕ラウンドがいよいよやってきた。今季は開幕前のテストは3月に鈴鹿サーキットで行われた合同テストのみで、4月7日（金）13時40分から予定されていた１時間30分の専有走行が、4月8日（土）の第１戦を前にした貴重な走行時間となる予定だった。
しかし、4月7日（金）は終日雨模様。専有走行の時間は雨脚が強まる予報もあり、セッション開始を前に中止が決定。4月8日（土）第1戦の予選と決勝は、全ドライバーにとってある意味“ぶっつけ本番”で迎えることになった。
公式予選
4月8日（土） 09:30〜10:05
天候：曇り 路面：ドライ
ベストタイム ＃38 坪井翔 1’22.448 ／＃39 阪口晴南 1’22.627
夜半には非常に強い雨が降った富士スピードウェイだが、迎えた4月8日（土）は朝から時折晴れ間もさしたものの、曇り空のもとで迎えた。午前9時20分から行われた公式予選は、前日に専有走行が行えなかったことから、通常のノックアウト形式の予選から、45分間の計時予選に変更された。
ところどころわずかにウエットパッチが残るなかで行われた予選では、わずかな時間を失うまいと、各車が続々とピットアウト。P.MU/CERUMO・INGINGの坪井翔、そして阪口晴南のふたりもすぐにコースインし、まずは1度ピットに戻った後、セットアップを確認しながらニュータイヤを履きアタックをこなしていった。
45分という時間のなか、早めのタイミングでアタックを行ったのは阪口。3回のピットインの後、11周目に1分22秒627というベストタイムを記録し、8番手につけてみせた。
「昨年はかなり苦戦していた状況で、ドライコンディションの予選ではシングルの順位はなかったので、8番手につけられたという意味では昨年より良くなっていると思いますし、手ごたえとしては昨年よりもはるかに大きかったです。前進している感触がありますね」と阪口。
一方、坪井も好調なフィーリングを感じており、序盤から上位につけていった。午後の決勝レースのためにも、なるべく前のグリッドを得ておきたい。坪井はチェッカーに向けて最後のアタックに入っていったが、コース上のトラフィックに行く手を阻まれ、狙ったアタックラップに入ろうかという2秒前にまさかのチェッカーが出てしまった。
「トラフィックは仕方ないですが、タイミングが悪かったです。最前列、2列目にいけた可能性はあるので悔しいですが、トップが見える感触はありました」と、アタックが満足に行えていない状況ながら、6番手につけた。
決勝レース
4月8日（土） 14:15〜
天候：曇り 路面：ドライ
ベストタイム：＃38 坪井翔 ──／＃39 阪口晴南 1’24.826（8L）
迎えた午後2時15分からの第1戦決勝。午前に続き曇り空のもと迎えたが、1周のフォーメーションラップの後切られたスタートから、P.MU/CERUMOI・NGINGの2台は思わぬレース展開を迎えることになった。
決してパーフェクトな予選ではなかった坪井は、「良い位置からスタートできますし、自信があります。ロングランはこなしてはいないので分かりませんが、富士ではみんな試していないですからね」とレースに向けて期待を込めていたが、スタートで出遅れてしまう。ただ、一度抜かれた＃5牧野任祐や＃20平川亮を1周目に抜き返し、元のポジションに戻して1周目を終える。
しかし、2周目のTGRコーナーに入った直後、突然の衝撃が坪井を襲った。背後につけていた＃5牧野がブレーキをロックさせてしまい、坪井のリヤに激しくヒットしてしまったのだ。たまらず坪井はスピン状態に陥り、車両後部は大きく破損。レースを終えることになってしまった。表彰台を狙いたいレースが、まさかの1周でリタイア。4月9日（日）の第2戦のためにレースを走り切りたいという目標すら叶えられず終えることになってしまった。＃5牧野にはペナルティが課されたほか、レース後、坪井のもとに謝罪に訪れた。
一方の阪口もまさかの展開となった。専有走行が行えず、いきなりの予選となったことから、スタート練習をこなす機会はほとんどないままで迎えた決勝だったが、レッドシグナル消灯後、まさかのストールを喫してしまった。「自分の準備不足でした」と阪口は悔しがった。
他にも3台の車両がストールを喫していたが、再始動にも時間を要し、阪口は一気に20番手までポジションダウン。坪井のクラッシュによるセーフティカーランの後、阪口は2周遅れでレースを進めていく。もちろん上位進出は望めないものだったが、SF23シャシー投入後初めてのレース。翌日の第2戦のためにも、得られるものは得なければならない。阪口は上位争いの邪魔をしないように、ロングランのペースを確認していった。
阪口はセーフティカーラン明けの8周目に1分24秒826というベストタイムを記録。その後も1分25秒台のラップを刻み続けながら周回をこなし、30周を終えピットイン。ふたたびコースインした。
そんななかレースは終盤に入っていたが、阪口がピットアウトした後の36周目、TGRコーナーでポジションを争っていた＃36ジュリアーノ・アレジと＃12福住仁嶺がクラッシュ。この処理のために２回目のセーフティカーが導入されると、そのままリスタートは切られることなく、第1戦はチェッカーを迎えた。阪口の順位は17位。予選シングルポジションからのレースはP.MU/CERUMO・INGINGにとってまさかの結果となったが、阪口が得たレースのデータを、第2戦に活かしていくしかない。
ドライバー／監督コメント
＃38 坪井翔
「スタートはTGR勢が全体的にあまり良くなかったです。自分もふだんスタートは悪くなかったのですが、今回は本当に良くなかったですね。それで1周目は2台に先行されてしまったものの、取り戻すことができたと思います。1周目はそれほど悲観することなく終えられたのですが、直後に追突されてレースを終えることになってしまいました」
「クルマが新しくなったレースで走れなかったので、みんなよりも実質的に1レース分出遅れてしまっています。辛いところはありますが、明日はしっかり予選で前にいき、クラッシュに巻き込まれないようにしたいですね。今は少し腰が痛いですが、明日は大丈夫だと思います。切り替えて頑張りたいです」
＃39 阪口晴南
「スタートでストールしてしまいましたが、準備不足でした。テストする機会もなかったですが、そうは言っても、まわりでもちろん良いスタートを切っているドライバーもいますからね。何が足りなかったかと言えば自分の準備不足です。少し自分でも驚くくらいでした」
「再スタートが切れてからは同一周回の選手もあまりいなかったので、まわりと競らずに、明日を見据えて単独で走りました。もう少し詰めたい部分はもちろんありましたけれど、フィーリングとしては悪くなかったとは思います。昨年の第1戦よりも感触としては間違いなく良くなっていたので、今日の第1戦で得たことを、なんとか明日に繋げていきたいですね」
立川祐路監督
「我々にとっては非常に厳しい開幕戦になってしまいましたね。阪口選手はスタートでストール、坪井選手は2周目に追突されてしまいました。坪井選手についてはどうにもできない状況で、単純に運がなかったですね。調子も良さそうでしたが、予選でも最後にアタックできませんでしたし、もう少し前のグリッドならば追突されることもなかったと思います」
「明日に向けて確認できなかったのも残念ですね。一方の阪口選手はストールしてしまったものの、第2戦に向けてしっかりデータを得ることもできたので、明日に向けてはプラスになったと思います。終わってしまったことは仕方ないので、しっかりと切り替えて第2戦に臨んでいきたいですね」
