優勝したEpson Modulo NSX-GT以外、ほとんどのチームがなにかしらのアクシデントやトラブル、ミスに見舞われることになった今回のスーパーGT第6戦鈴鹿1000km。スタートからフィニッシュまで各所でバトルが勃発し、最後まで緊迫した場面が続いたが、その中でもレース終盤に注目を集めたのが、DENSO KOBELCO SARD LC500とRAYBRIG NSX-GTの3位表彰台争いだ。
追い上げる4番手のRAYBRIG山本尚貴、そして、3番手を守るDENSO平手晃平。RAYBRIG山本はコーナリングスピードとトラクションの良さで何度もDENSO平手の横に並び掛かるも、イン側のポジションを死守する平手はブレーキングで山本に前を行かせない。それでも山本もあきらめずに、2度、3度と平手の横に並びかかる。
156周目、161周目のシケイン進入でブレーキングを遅らせて山本はアウトから平手に並び掛かるも、平手はイン側を譲らず、山本はややオーバーラン。それでもすぐに体制を立て直し、平手の背後から離れない。レース終盤、ふたりのドライバーのまさに意地をかけた3位争いが演じられたのだ。
「チームからは『順位を譲って4位キープでもいいよ』という指示はあったんですけど、残り10周ちょっとだったので守りきりたいという気持ちがありました」と、山本とのバトルを振り返る平手。
「クルマが良くて、チームもピット作業で2回とも(ライバルの)前に出してくれてすごくいい仕事をしてくれたので、僕としてもその気持ちに応えたかった。それにやっぱり鈴鹿の最後の1000kmで少しでも多くのポイントを獲れたらという気持ちもあった」
平手は山本の攻撃を何度もブロックして防いでいたものの、タイヤのグリップが厳しくなり始める。
「タイヤは右フロントが厳しくて、最後のスティントはユーズドでスタートしたんですけど、練習走行か予選の時に少しタイヤロックしたタイヤだったのか、最初から細かいバイブレーションがありました。そこで100号車とバトルをしているうちに、ちょっとずつロックが大きくなっていった」
166周目のシケイン進入のブレーキングで平手は一瞬、挙動を乱し、山本はその隙を逃さず平手の横に並びかかり、そのままストレートを並走。1コーナーでアウトから山本が先行し、3位争いの決着が付いた。
「チームが指示したように100号車(山本)を先に行かせて、ペースをコントロールしながら走っていれば4位でフィニッシュできたかもしれない。そこの葛藤で最終的には前に抜かれちゃって4位に落ちたんですけど、そこでタイヤをかなり使ってしまってそれが仇になりました。もし5位、6位に落ちたとしてもポイントはしっかり獲れたので、僕の判断ミスで、チームには本当に申し訳ないことをしました」と平手。