2017年シーズンは15車種30チームが熾烈なバトルを繰り広げるスーパーGT300クラス。数多くある車両から1台をピックアップし、ドライバーや関係者にマシンの魅力を聞いていく。
今回は、2017年からミッションを大きく変更し、トランスアクスル化したスバルBRZ R&D SPORTにフォーカスする。
* * * * * * * * *
BRZがGT300に投入されて2017年シーズンで6年目。JAF-GTであるBRZはシーズン中もマシンの開発が許されており、つねに改良が行われている。そんなBRZが、2017年に駆動系のレイアウトを大きく変更した。ミッションをトランスアクスル化したのだ。
トランスアクスルとは、通常エンジンの近くに接続されるトランスミッションをリヤ側に設置するもの。その分、エンジンも車体の中心にやや近いところに設置することが可能になり、車体の前後重量バランスを理想的な50:50へ近づけることができる。
トランスアクスルという仕組みは、チームが2012年まで投入していたレガシィGTで採用されていたが、このBRZでは初導入となる。
BRZの特長といえば、フロントの車軸よりも低く設置された水平対向エンジンの重心の低さとパッケージングのよさを生かしたコーナリング性能。トランスアクスル化は、このBRZの長所をさらに伸ばすことが狙いとなる。
2015年からR&D SPORTに加入しBRZのステアリングを握る山内英輝は、BRZにとって2017年最大の変更点、トランスアクスル化したメリットについてこう語る。
「ドライバーとしては、リヤのトラクションが増えたことが大きなメリットです。決勝レースのロングランでも安定して速く走れます」
「それから、タイヤのマネージメントもしやすいですね。2016年は(リヤタイヤの)空転が多かったんですが、2017年の方がよりトラクションがいいので、タイヤのライフもよくなって、コントロールがしやすくなりました」
「トランスアクスル化する前の2016年までは、(減速時に)時々ギヤが落ちにくいことがありました。リヤタイヤ(のグリップ)が落ちてきた状態でブレーキを踏むと、(荷重がフロントに寄るため)リヤの姿勢が浮いて(リヤタイヤが空転するような状態になり)ギヤが落ちなかったりしたんです。(トランスアクスル化した)今はそれがまったくないので、そういう部分でも助けられています」