■「ドライバーよりも楽しいかも」。ヨコハマとドライバーの繋ぎ役に
こうしてエグゼクティブアドバイザーに就任した織戸は、富士での公式テスト初日こそ「ちょっと戸惑いがあった」というが、マサ監督からのリクエストを受け行動を開始した。無線をつけコースサイドに行き、GT500の走りを観察。走行が終わったらピットに戻り、ドライバーのコメントを聞き、そのときに履いたタイヤに関するコメントを、まるでエンジニアのようにノートに書き記していった。
「2日目はだいぶ慣れてきて、すごく楽しい。レースになってみたら分からないけど、ドライバーよりも楽しいかもしれない(笑)」と織戸は語ってくれた。
「しばらくGT500は意識していなかったけど、無線を聞いて、コースに行って見たり、ドライバーのコメントを聞いていたりすると、だんだん走りとリンクしてくる。他のGT500の動きも外から分かるようになってきたし、何をやっているかもだいたい分かってきた。2日目で流れはだいぶ理解した」と織戸は言う。
また、非常に興味深いのはマサ監督の希望にもあったタイヤ作りの面。「タイヤの構造やコンパウンドもたくさんあるけれど、今までドライバーとしてやってきた流れから理解できてきている。今やっているタイヤの方向性と、どういうタイヤにしたいかというタイヤ作りも、なんとなく理解できた」というのは、さすが“ミスターアドバン”だ。
「僕としては、タイヤ屋さんの目で見たいのね。タイヤ作りの勉強をしたい。ドライバーの言っているコメントをヨコハマにドライバー目線でうまく伝えられて、タイヤ屋さんが言っていることをドライバーに伝えられるポジションになることができれば」
そう語る織戸は、スープラや自身が手がける“チーター”を走らせているときのような、子どものように輝く目をしていた。