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スーパーGT ニュース

投稿日: 2018.05.11 11:11
更新日: 2018.05.11 11:13

スーパーGT:SUBARU BRZが手にした最高速と背負ったリスク/GT300トピックス

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スーパーGT | スーパーGT:SUBARU BRZが手にした最高速と背負ったリスク/GT300トピックス

 5月4日に富士スピードウェイで決勝レースが行われた2018年のスーパーGT第2戦。今回は不得意とされる富士の予選で2番手を獲得、決勝でもリタイアするまで上位を走っていたSUBARU BRZ R&D SPORTや、今なお進化を続けるARTA BMW M6 GT3高木真一の技など、GT300クラスにまつわるトピックスをお届け。

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■昨年から10km/hアップ。SUBARU BRZが手にした最高速と負わざるを得なかったリスク

 ロングストレートを有する富士では、最高速がラップタイムに大きく影響する。大排気量エンジンを搭載するGT3勢に対し、ターボエンジンとはいえ2リッターの最小排気量であるSUBARU BRZ R&D SPORTは、これまで富士で苦闘してきた。

 最高速はいつも最下位を争い、単独で走れる予選で上位につけても、決勝ではストレートで抜かれ、離されてしまう。そのBRZが、昨年の第2戦富士から最高速を10km/h近く伸ばし、予選での計測で9番手につけた。予選結果も2番手。「タイヤもドライバーもすべてがうまくハマった。誰よりも自分たちが驚いている」と澤田稔テクニカルコーディネーターは笑顔で語った。

 今季のBRZは、リヤフェンダーをボックス形状から流麗なラインに変更するなど、低ドラッグ仕様のカウルを基本としている。さらに、エンジン出力は過給圧で制御されるようになった。その融合が果たした10km/h増。

 予選でステアリングを握った井口卓人は、「もちろん、エンジン面でも頑張ってもらっているけど、低ドラッグ化によってエンドスピードが伸びるようになった印象が強い」と話す。

 ただし、最高速を得るためのリスクも当然ある。低ドラッグ化はダウンフォースが減る傾向にあり、「ボトムスピードは今年の方が少し遅いかもしれない」と井口。ダウンフォースが減れば、タイヤも摩耗しやすくなる。

 それでも最高速が伸びた恩恵は決勝でも大きく、GT3勢から2番手のポジションを守り続けた。しかし、リスクはもうひとつあった。55周目、BRZはエンジンから白煙をあげてランオフエリアにクルマを止めた。原因究明はこれからだが、エンジンへの負荷が増したことが関係しているのかもしれない。

 ちなみに、ポルシェは昨年から大きく最高速を落とした。これは今季導入したEVOパッケージにより、フロントのダウンフォースが増したから。結果は、最高速で23番手だったDステーション ポルシェが、決勝では6位。昨年の第2戦富士では3位だったことを考えると、最高速を落とした影響もあったのだろう。

 そしてBRZは開発が認められた特権を活かし、最高速とボトムスピードの両立を目指している。今回はリタイアに終わったが、その片鱗は充分に見せつけたといえよう。

■目指すはF1、ライバルは同い年のランド・ノリス!? “超吸収”で学ぶ「F1に活かせるGT300」

 今季、18歳のルーキーとしてGT300にデビューした宮田莉朋が、初めて担当した予選で6番手を獲得。その結果に「うれしい」と18歳らしくはにかむが、「それ以上に、公式練習から予選にかけてタイムアップするのが一番の課題だと思っているので、それをできたことがよかった」とストイックさを滲ませた。

 宮田が目標とするのはあくまでF1であり、同じ1999年生まれで今年F2を戦っているランド・ノリスを意識している。「本当は16年のFIA-F4でチャンピオンを獲って、昨年からGT300に乗りたかった」と話す。

 日本での自動車免許取得は18歳からであり、年齢制限により宮田は昨年GT300に乗ることができなかった。それに対し、ヨーロッパでは18歳になる前から、テストも含めてハコ車に乗っているドライバーが多い。「1年遅れている」と宮田は悔しさを口にした。

 F1を目指すドライバーにとっては、フォーミュラでの経験が最優先だ。もちろん、それは宮田も同じだが「GT3はF1の勉強になる」という。ハコ車特有の重さ、大きなロールはフォーミュラで学べないことであり、GT500とGT300の混走となるスーパーGTでは、「視野を広げて走らないといけないレースなので、今後F1に行って、自分が周回遅れになっていようが、トップ争いをしているときのアウトラップの攻略とか、学べる部分は多い」と宮田。

SYNTIUM LMcorsa RC F GT3
SYNTIUM LMcorsa RC F GT3

 初めてのハコ車では、重さやロール量、ABSを装備したブレーキングなどフォーミュラとの違いに戸惑うドライバーも多い。SYNTIUM LMcorsa RC F GT3のセッティングは経験ある吉本大樹が担当しており、その部分では「まだこれから」というが、RC F GT3の扱いはすでに手中に収めているようだ。1年の遅れを取り戻すべく、宮田は多くのことを吸収し、2戦目にして早くもスピードセンスの高さを見せつけた。かつて、GT300を経てF1にまで上り詰めたドライバーは、トヨタの先輩である中嶋一貴しかいない。宮田も続けるか、その成長と成功を見守りたい。


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